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砂漠でサーモン・フィッシングのmaverickのレビュー・感想・評価

4.2
『砂漠でサーモン・フィッシング』??
いったいどういうこと?と、そこから突っ込みたくなる。このタイトルとジャケ絵から、ゆるりとしたお気楽ムービーなのかと思っていたが、あらすじを読むとそうではないことが分かる。ユアン・マクレガーとエミリー・ブラントと、出演も豪華だったので惹かれて観てみた。

イエメンの大富豪の男の希望により、砂漠でサーモン釣りを実現させるというプロジェクトが持ち上がる。無茶苦茶な要望だが、資金力は莫大なクライアント。依頼を受けた投資会社のコンサルタントは、プロジェクトを実現させるにあたり、鮭の生態に詳しい学者に協力を求める。「砂漠でサーモンフィッシング!?」と、馬鹿げた発想に実現不可能の烙印を押す生態学者。ですよねー(笑)。
でもクライアントの大富豪は諦めない。彼にはどうしても実現させたい夢があった。そしてよくよく調べると絶対不可能なプロジェクトではないことが分かる。イエメンとの良好な関係性を是が非でもアピールしたい英国政府の強制もあり、砂漠でサーモンフィッシングのプロジェクトは始動する。

コミカルな描写でコメディベースではあるものの、思った以上にヒューマンドラマでしっかりしていた。監督は『ギルバート・グレイプ』『僕のワンダフル・ライフ』のラッセ・ハルストレム。丁寧な作品描写はさすがだなと。何かに打ち込み、それを実現させようとする時の熱意。あぁ分かるな~と。最初はバラバラなチームが、一つの目標に向かって一体となってゆく。チーム一丸となって気持ちを共有してゆく。その良さを描いてある。砂漠でサーモンフィッシング、なんとも素敵じゃないか。

生態学者で変わった男を演じるユアン・マクレガーと、敏腕コンサルタントの女性を演じたエミリー・ブラントの掛け合いも素敵。この二人の距離関係を追う楽しみもある。それぞれに問題を抱えた二人だが、プロジェクトに関わる中で互いを認め合うようになる。自分にとっての幸せとは何か、それを考えさせるような話。こういう人間ドラマ好きだなぁ。二人の演じ様がまた良くて。ユアン・マクレガーはもちろんだが、エミリー・ブラントも素敵な女優。『プラダを着た悪魔』の頃から光っていたけど、今やハリウッドを代表する大女優に。大好き。
首相広報官役のクリスティン・スコット・トーマスも良いキャラしてた。出演者はみなキャラクター性豊かで面白いんだけど、しっかり人間ドラマに収めてある。落ち着いて観れるところが本作の良さだなと思う。


実話?と思いきや完全にフィクションのようで。それくらいリアリティがあって説得力のある作品だった。夢を語る時に、そんな夢は現実的じゃないよと否定されたら。今度からは本作を例えに出そうかな。「だって砂漠でサーモンフィッシングだって出来るかもしれないじゃん」ってね。
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