おーいこっちだ

パフューム ある人殺しの物語のおーいこっちだのレビュー・感想・評価

4.5
初めて見てからずっと大好きな映画。

この映画は美術がまず素晴らしい。コスチューム映画のくくりなのに本当に着古して腐ったような生々しい衣服や街並みが出てくる。臭いの視覚化に1番近い気がする。

出てくるキャラクターも生々しい。人間性も匂ってくる。淡々とした語り口でキモい・性格終わってる・どうしようもない人間が次々現れてはサクッと退場していくのでテンポもいい。

面白いのが、作中の設定通り主人公の人間性が匂ってこないところ。彼をとりまくサッと登場してサッと退場する周りの人達の方がずっと味がする。話は濃いし主人公の行動も濃いのに何故か感情が湧いてこない。文章や設定でそれを表すのは簡単でも実際に映像で見せられてすげーとしか言えない。素晴らしい脚本と演出と演技!

ある人殺しの話というが、むしろ人間という生き物の話という方が正しい気がする。クライマックスの数百人の裸のエキストラによるトランスシーンから余りにもあっけないラストまでのオチのつけ方も完璧。

何回見ても夢中で見てしまうし何回でも見たい。暗いっちゃ暗いが基本的には風刺コメディ映画。
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