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リング0 バースデイの8bitのレビュー・感想・評価

リング0 バースデイ(2000年製作の映画)
4.0
〝山村貞子〟が〝貞子〟になる。

オープニングタイトルで彼女の眼が大写しになる。
まだ、あの憎悪に満ちたおぞましい目つきではなく、真っ直ぐで澄んだ瞳だ。
美しく無垢だった彼女がなぜ〝貞子〟になってしまったのか。
ホラー映画だから怖いシーンもあるけど、観終わった後とても哀しい気持ちになった。
これはひとりの少女のとてもとても哀しい物語だ。

彼女の力は人を殺めるだけでなく、癒やすこともできる事がはっきりと描かれている。彼女は最初からあんな化け物じゃなかった。
彼女のあんな風にしてしまったのは、人間の悪意だ。
〝人と違っている〟というだけで、周りから奇異の視線を浴び、罪をなすりつけられ、いわれなき暴力を受ける。
唯一彼女に手を差し伸べてくれた男性すら手にかけてしまう程の、彼女の絶望がいかほどのものだったのか。
彼女の葛藤や思い、絶望のすべてが凝縮されたのがあの「呪いのビデオ」なんだ。

根底にあるのは〝差別〟の意識。
人間の内面に根深く残るこのテーマをSFやオカルトといった異色のアプローチで描いたと言う点では
〝X-MEN〟に比肩しうる傑作だと思う。

若き日の貞子演じた当時新人の仲間由紀恵さんがとにかく美しい。
まさに山村貞子そのものだ。
「リング」のラストシーンで、テレビから出てくるあの〝貞子〟がこの映画の〝山村貞子〟なんだと思うと、
震え上がったはずのあのシーンもとても切なく見えてくるから不思議だ。

クライマックスでいきなり画面の色調がジメッとした感じに変わる演出が気持ち悪くて好き。
麻生久美子さんの発狂演技が怖すぎる。
井戸が発泡スチロールでできている。
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