Hondaカット

クラウド アトラスのHondaカットのレビュー・感想・評価

クラウド アトラス(2012年製作の映画)
4.6
6つの時代の別々の話が絡み合う、輪廻転生の物語。それぞれの話が、時代物、SF、社会派サスペンス、コメディ、などと入り乱れ、出てる役者も一人四〜五役こなしてる。

物語同士のリンクの仕方が物足りないとか、役者の特殊メイクが変とか、最後が物足りないとか、色々あるけど、それら表層的なものはきっと実は主題じゃないと思った。全部、色〜んな【人間の業】を、時代を超えて常識を越えて、描くのに最適な手法を取っただけのような。
想いは時や場所を超え、創作物は何かを託され、人類史を作っていく。生まれ変わる魂は愛によって成長する。

それを表現する編集が凄まじかった。6つの時代を別々に描くのではなく、常にシーンが混ざり合い、シーンバック、果てはカットバックすらしながら進んでいく。音楽はもちろん、ある時代のモノローグ(ナレーション)が他のいくつもの時代のカットにも重なる。違う時代で台詞や動きも繋がっていく。

最初こそ付いていくのに必死になるけど(笑)、時系列もめちゃくちゃなのに、ちゃんと追っかけて観ていける。その編集の積み重ねが、人種や時代を超える壮大な物語になっていく。どれだけ脚本段階で画コンテ段階で突き詰めてるのか気になる。映像編集者必見です。こんなの繋げたらこの仕事冥利につきるだろうなぁ。175分全く飽きず。

久しぶりに「ふぅ〜映画を観たな〜」という充足感と余韻のある映画だった。クラウドアトラス六重奏。満足。
Hondaカット

Hondaカット