柳

映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)の柳のレビュー・感想・評価

4.7
本当に素晴らしい作品でした。「わさドラ」映画で初めて原作コミックスからの拡張された話ではない完全オリジナルストーリーということで不安もあったのですが、観終わった後にそんなことを感じさせないほど面白かったです。

『ドラえもん』を面白くしている一番大きな要素は夢いっぱいの「ひみつ道具」だと思います。そこに焦点を当てるのはかなり『ドラえもん』の世界観に踏み込んで設定等が決まってしまうほど慎重に進めなくてはなりません。それでも子供たちの夢ですから、ドキドキ感やわくわく感を与えられるようなストーリーが必要です。実際、この作品はそれらを大幅にクリアしたと感じます。

まずストーリーが素晴らしい。今までの『映画ドラえもん』はのび太とゲストキャラとの友情などを描いた作品が多いですが、今回はのび太とドラえもんに着目されています。「未来の国からはるばると」のワンシーンだとか過去の回想シーンだとかが出てきて凄く熱い展開でした。特にドラえもんが「のび太くんは勉強もダメ、運動もダメ、根性もなくてどうしようもないやつだけど、でも君は···」と続くシーンでこの先の言葉は途中までは明かされません。最後に判明したときありきたりな発言ではあるのですが、のび太とドラえもんの関係が単なる世話焼きではなく友達であることが、そしてのび太のことを一番良く知っているのはドラえもんであることが読み取れます。今まで『ドラえもん』を観てきた側としてこのシーンは本当に号泣しました。

原作を良く読んでいると「お!この道具は!」となるような小ネタ、ひみつ道具を上手く活用した謎解き、キャラクターや音楽などあらゆるものが完璧です。個人的には『映画ドラえもん』の一種の集大成だと思います。
柳