高橋早苗

天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”の高橋早苗のレビュー・感想・評価

3.8
マクロビを知った頃
よく耳に目にした
「ていねいに暮らす」って言葉

…何よその変な日本語?くらいに感じて嫌っていた


そのくせ
とかく「食べること」が
雑になってることは
身を持って感じていた

そして玄米ご飯から始まった
なんちゃってマクロビは

冷蔵庫から 多種多様な混合調味料と牛乳を追い出し

電子レンジを 土鍋に変えて

粉ものが減り 未精製に傾き

去年の今ごろ
食養生を知るに至って
・・・なんか良い感じのつもりでいたけど、この胃腸には玄米が合わなかったのか
まんまと通院する羽目になり

なんちゃっては
やっぱりなんちゃってなんだな・・・なんてプチ反省してたけど



不思議だった

鰹節の出汁を きつく感じるようになった

すっかり豆乳に慣れて
牛乳を飲めなくなった

ジャンクフードに胸焼けするようになったり
そんな自分の体の変化
味覚の変化?
何が違うんだろうって
アレルギーみたいな体の反応なのか
ただ嗜好が変わっただけなのか



同じ頃、TVで
辰巳さんがつくる煮しめを見て
真似してみたけど

砂糖醤油漬け並みに
濃い味しか受け付けない家族には見向きもされず((T_T))

だけど自分的には
やっぱりこっちだなと
いつか上手に出来たらと思っていた



卵焼きをつくるシーンで
10個の卵を
卵と卵をぶつけて割る手つきが
何だかすごく優しげに見えて
見とれてた

辰巳さんを見ていると
とにかくよく見てるんだな
と感じる

人参に包丁を入れる様も

「野菜がまごつかないようなヘラ使い」も
・・・包丁を握りながら
鍋の中の野菜を見ながら
食材の向こう
生産者さんたちまで見ていて


そして
つくるものの行く先まで見てる

病に倒れた父を支えたという
「いのちのスープ」

口にした人は
それぞれの素材の扱いに感嘆し

自らのいつかの思い出と
つながっていく



ポタージュっていうと
インスタントしか知らない時点でダメダメですが(笑)

見てると 作ってみたくなってくるね
今のウチの装備じゃミキサーないから無理なんだけど
ブレンダーぐらい買っちゃおうかな


『食べものの用意は
 いのちへの祝福』
きっと、外食じゃ
ほぼお目にかかれない味なんだろうな
できるだけ美味しくつくって食べさせよう、っていうのは
もとより対価を求めていないもんね。


できるだけ美味しくつくって
食べさせよう
=愛すること だというなら



食べさせる家族のいない私は
せめて自分を労るために
さて、何からつくろうか。
高橋早苗

高橋早苗