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よく知りもしないくせにのnagashingのレビュー・感想・評価

よく知りもしないくせに(2009年製作の映画)
4.0
円熟の域に達している感。「既婚者の知人の家に遊びにいく」ことの反復のなかで、たくみに暴かれていく顕在/潜在的な女性への欲望。前半で不条理に糾弾される主人公が、後半では不条理(と思われるよう)な怒りを他人にぶつけ、裏切りを働くという反転もみごと。腕相撲を「肉体的に貧弱な文化系的マチズモの発露」としてあつかう皮肉っぽい発想もかなり天才的だと思う。
パンとズームは輪をかけて謎だけど、元カノの手紙が読みあげられるなかで若いカップルにフォーカスするあたりはエモい。海、湖、プールなど、水に象徴的ななにかを仮託している気がする。
おまえの映画は意味わかんねーよ、ってdisられた主人公の必死の弁明が、あきらかにホン・サンス自身による自作解説に聞こえるんだけど、パブリックイメージのセルフパロディーとか、いくらなんでもあやしすぎるでしょう。ぜったいにふざけてる。ほんとうに信用ならない監督。
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