てつこてつ

ハハハのてつこてつのレビュー・感想・評価

ハハハ(2010年製作の映画)
3.8
第63回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門受賞作品。

ホン・サンス監督作品としては珍しい群像劇で、とにかくキャストが豪華。キム・サンギョン、ユ・ジョンサンといった常連キャストに加え、韓国のみならずアジア映画界を代表する演技派女優ムン・ソリ、「ミナリ」でオスカー最優秀助演女優賞受賞のユン・ヨジョン、若手俳優の中では抜群に光っていると思うキム・ガンウと面子が凄い。彼らが他出演作品群とは違った良い意味で力が抜けた自然体の演技を披露して見事なホン・サンスワールドを展開している。

キム・サンギョンとキム・ガンウは後に「死体が消えた夜」で、ユン・ヨジョンとキム・ガンウも「蜜の味」といった、今作とは全くテイストが異なる作品でも共演を果たしているので、韓国映画好きでこれらの作品も見ている方なら、より楽しめる筈。

作風も、ホン・サンスのテイストを保ちつつも、そこまで独りよがりな内容でもなく分かりやすい。また、コメディ作品の要素をハッキリと打ち出しており、結構ベタな笑いの取り方ながらも、役者陣が皆上手いので、きちんと成立している。

キム・サンギョン演じる映画監督、彼の先輩であるうつ病を患う役どころのユ・ジョンサン、キム・ガンウ演じる海兵隊出身の若き詩人・・この3人の男たちがそれぞれ出会う女性たちとの恋の行方を実に軽妙に描いていて楽しい。

何と言っても、終盤になってやっと地名が出てくるロケ地の舞台となるソウル郊外の港町・統営(トンヨン)の風景が作風にもハマるし、とても画になる。

韓国で訪れてみたい街がひとつまた増えた。
てつこてつ

てつこてつ