S

次の朝は他人のSのネタバレレビュー・内容・結末

次の朝は他人(2011年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

2021/05/14 DVD

〈恋愛についての4つの考察〉シリーズの一作。
映画監督の男が、先輩に会うためにソウルに上京したが連絡がつかず、時間を潰すはめになり喫茶店や酒場で過ごす。知人の女優や、監督のファンらしき若者グループに声をかけられ一緒に呑むが酔って悪態を付き…。
過去4本の映画を撮った(一般的には評価されていないが一定のファンは居る)監督ではあるが現在は映画の講師をしている。2年前に別れた恋人に未練があり彼女を深夜に訪ねたのがターニングポイントとなる。‘’小説‘’というバーでようやく会えた先輩、先輩の後輩女性とテーブルを囲み、後にもう一人の先輩が加わったり繰り返し登場する‘’小説‘’での長回しの会話シーンは、主人公が割れたコップに例え人生は理由のないことの集合体だという台詞から見ても、本作の重要なシーンと言わんばかりだ。レストラン‘’多情‘’も同じく。
バーで弾くクラシック・ピアノ、別れた恋人に瓜二つの美しい女性オーナーが着ているクラシカルなコートとパンプス、雪が舞う中のキス・シーンなどがフランスのモノクローム映画のように美しい映像だった。当初はカラー作品で後にモノクロに変更されたというが正解だと思う。
後に公私パートナーとなるキム・ミニをミューズに撮った近年の完成された作品とは違い、約10年前のホン・サンス監督作品にはよりフレッシュな感覚を覚え、恋愛主義の微妙な立ち位置の男性を迎えており面白い。間違いなくロメールのスピリットを受け継いだ会話シーンと、登場人物が映画関係者という群像劇で面白かった。
S

S