ビュート

ボーンズ・ブリゲードのビュートのレビュー・感想・評価

ボーンズ・ブリゲード(2012年製作の映画)
4.5
スケボーのドキュメンタリー。
僕のベスト・ムービー。
観てほしい。スケボーになんか興味なくても、誰にとっても最高の一本になりうる映画だから。
初めて観たとき僕はスケートをやっていなかったし、観たのがきっかけで始めたわけでもない。007を観たってスパイの国家試験の勉強を始めないのと同じで、ただ「めちゃくちゃいい映画を観てしまった」と思った。

自宅の庭にランプのある環境、両親の理解、手足の長さ、負けん気、スケーターとして優位性すべてを手に入れた甘いマスクの絶対的スター、天才トニー・ホーク。

馴れ合いを嫌いトリックの開発に徹底的にこだわったスプーキー野郎、マイク・マクギル。人嫌いな彼自身とは裏腹に、彼のニックネームを冠したトリック「マックツイスト」は英語の辞典に載るほどに世界中で愛されている。

VANSの名作シューズ「ハーフキャブ」がひとりのスケーターのシグネチャーモデルだって知って履いてる人は今どれくらいいるんだろう。スティーブ・キャバレロがその人。スケートならチビでもカッコよくなれるってことを証明した偉人だ。

いち早く街滑りを始めた、つまりランプからスケートを解き放った人物。今では音楽家、画家として活動する生粋の傾奇者。「敷居が高くてまだ入ったことのないお洒落すぎるカフェのテラスでいつも仲間とつるんでるクールな地元のあんちゃん」の概念が受肉した存在がきっとトミー・ゲレロ。

前歯が抜け惚けた表情はまったくの白痴、反面哲学者の言葉を引用する語り口とのギャップに哀しみを湛えたロドニー・ミューレンは、ギターでいうFコードにあたるスケートの最初の関門「平地でのオーリー」を世に送り出した。

天才たちの輪の中でひとり、コンプレックスに苛まれながらクレイジーでファニーな反知性主義の道化を演じ、ただ楽しむスケーティングを体現して世界中のキッズの心の友になったランス・マウンテン。

この6人の青春を現在の彼らが振り返る形式で物語は進む。そのそれぞれがまったく別々のキラキラを放っていて、眩しくて美しくて愛くるしい。人間讃歌、そうか人間讃歌ってこういうことかって思う。