ルビー・スパークスの作品情報・感想・評価

「ルビー・スパークス」に投稿された感想・評価

のび

のびの感想・評価

3.0
映画『ルビー・スパークス』は、支配欲にとらわれた人間が、痛い目にあって成長する物語だと言えるのかもしれない。

想像が生み出した”理想の恋人”と”理想の恋愛”を楽しむという設定はそれなりに面白いが、この物語は人間が意のままに人間を支配するグロテスクさを描く物語でもあるので、そのグロテスクさをしっかりと描写すれば、もう一段深みのある物語になったと思われる。

支配しようとするカルヴィンと支配を拒むルビーの衝突が今ひとつありきたりであったからだ。特にクライマックスとも言える場面、カルヴィンがページを書き足していくたびに、ルビーの言動がころころと変わる場面の描写が少々漫画的に見えてしまったからだ。そういった理由で、深みの足りない物語になってしまったところが少々残念であった。

このレビューはネタバレを含みます

 ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリスはあの「リトリ・ミス・サンシャイン」の監督コンビである。その2人が作った映画なのだから、否が応でも期待してしまう。
 ストーリーにも興味が惹かれる。スランプに陥った元・天才作家が自分の創作した女の子に恋をする。しかもその子が実在してしまった。自分の思い通りに人を動かせたらどうなるのか、という上手く調理すれば最高の物に成り得る良い題材だ。
 だがこの「Aクラスの食材」をこの映画、というより脚本は上手く料理できたとは言いがたい。
 マインド・コントロール的な要素を暗くなりすぎずに描いた点は良かったと思う。楽観的な映画の雰囲気にぴったりだし、そもそも監督たちが得意とする「シリアスなのに、明るく振る舞う人々」には即している。それに終盤で見せるカルヴィンとルビーの喧嘩は今までの雰囲気とは一転、カルヴィンの異常性を最大限に引き出している。ものすごい早さでタイプライターを打ち、一瞬にやりと笑うその顔にはぞっとさせられる。それでいて、後悔の念も顔に浮かぶから、人間性が失われず、観客の共感を呼ぶ。
 そのカルヴィンをポール・ダノが好演している。次作が書けないと言ってセラピーに通い、ボビーというぬいぐるみを抱きしめる。女性に対する考え方もかなり独善的で、ルビーに言わせると「堅物」である。こんな引きこもりまがいを愛すべき人物として演じられるのは確かに彼しかいない。ひょろっとしていて、肌は青白く、完璧に役にフィットしている。登場人物の中でも、唯一リアルな感情が込められている。あえてタイプライターという昔ながらの方法で執筆に励む彼の姿は、狂人的でありながら「天才」と呼ばれ続けた者の苦悩も垣間見える。
 だが問題なのは、「ルビー・スパークス」その人だ。「女の経験ゼロ」のカルヴィンが作り出したからかもしれないが、彼女はびっくりするほど魅力的でない。いや、演じているゾーイ・カザンはチャーミングだし、けっして鼻につくというわけでもない。しかしカルヴィンが彼女にそこまで入れ込む理由が分からないのだ。ある意味では「カルヴィンの妄想の産物」としてのリアリティは保っているかもしれないが、彼女はこの映画のヒロインでもあるのだ。ハッとさせられる瞬間もあるが、ほとんどは薄っぺらいものしかない。
 この問題は彼女だけに始まったものではなく、他の登場人物にも言える。リアリティが無い、というか生活感が皆無なのだ。「空想の産物が実生活に登場する」という話を生かすには、“実生活”との落差が大事なのではないか。どちらも創作物に見えるようでは、惹き付けるようなストーリーにはならない。
 とはいえ、全体として見るとこの映画は悪くない。むしろ良い方だ。主演の2人はそれぞれの役柄に忠実だし、インディペンデント系らしいカメラワークも嫌いじゃない。音楽の使い方をもう少し上手くすれば、忘れられないシーンもできたと思う(ゲームセンターの場面など)。要するに色々と惜しいのだ。
 その“惜しい”脚本にも実は完璧なシーンが一つある。それはラストなのだが、カルヴィンとルビーの会話が絶妙なのだ。ルビーが何気なくする会話の一つ一つが二重の意味を持っているのだが、それが非常に巧みなのだ。カルヴィンの心情も手に取るように分かる。まさに理想的なエンディングと言えるだろう。
(13年2月14日 映画館 3.5点)
mimu

mimuの感想・評価

4.0
最初はただただ綺麗で可愛い映画だなぁって思ってたけど、後半にかけてのハラハラ感(?)にいい意味で裏切られました。
最後はハッピーな終わりで満足です。
Ayk

Aykの感想・評価

4.0
記録
小説に描いた女の子が、突然恋人として現れるお話。

そんな奇跡は現実では決して起こらないけれど、この映画の2人のような恋愛はよくあることなのかなと思いました。ぜんぶ自分を中心に据えることで、自分も相手も苦しくなっちゃうような。


脚本はルビー役のゾーイ・カザンが書いたそう。ゾーイが書いてポールが演じさせられる映画の中でポールが書いてゾーイが操られる。すごい。

2人が実際にカップルということもすごいと思いました。長く続いているカップル感を消し去ってまた別の関係性のカップルを演じるって大変そう。

ゾーイ・カザンが携わる他の作品も観てみたいなと感じました。ポール・ダノは、どうかな…。何をやってもギークっぽくなりそうだけど…


また、愛犬のスコッティという名前はフィッツジェラルドから取ったもの。ルビーに翻弄されるカルヴィンが、ゼルダという一人の女性に翻弄されたフィッツジェラルドの姿と重なります。随所にアメリカ文学の気配。
普通の恋愛ものだと思って観てたから、ポスターの可愛さとラスト辺りのシーンにギャップがあったのが良かった。良い意味で裏切られたし、観終わってからもやっぱりあの部分がすごく頭に残る。

主人公と正反対の性格の兄が、何だかんだで相談に乗ってくれてたあたりも好き。
あとはゲームセンターとかプールの青みがかった色使いが綺麗だった。
ルビーのファッションも色鮮やかで、彼シャツみたいなの着て立ってるところが個人的に好きでした。かわいい。
さなえ

さなえの感想・評価

3.9
もし小説に書いた理想の女の子が現実に現れて、自分の意のままに操れたら というテーマ。

現実は操れないから難しくて、
分からなくなったりするけど、

だからこそドキドキわくわくできるんだということを教えてくれる。
紫苑

紫苑の感想・評価

4.2
理想の女の子を彼女にして自分の思い通りに操れる
なんて世の男性達が一度は考えたことがあるシチュエーションだろう
しかしそれで生じる食い違いを生々しく描いていて
やはり自分の思い通りにならないから恋愛は楽しいんだと思わせてくれる
映像も綺麗で名作だと思う
arisa

arisaの感想・評価

4.5
とても好き。
マリン

マリンの感想・評価

4.0
ルビーがとにかくずるい。こんなの世の中の男の人はみんな好きになっちゃうわ。
そしてやっぱりタイプライターってなんか良いよね〜
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