ムーミーコロコロ

レ・ミゼラブルのムーミーコロコロのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)
4.5
見ようと思ってずっと前からダウンロードしておきながら、ずっと見なかった作品。時間が長いのと、なんとなく重苦しいイメージだったから。
今回、意を決して(大げさ)ついに見た。

確かに長かった。
確かに重苦しかった。

でも、見てよかった。作品の世界にどんどん引き込まれていって、気がつけばその時代にタイムスリップしたような感覚。

ただ一つのパンを、しかも自分のためではなく妹の子のために盗んだ、その罪で19年の投獄。たとえ仮釈放されても危険人物というレッテルは剥がれない。あの時教会であの神父様に会わなければ彼の人生は全く違っていただろう。
それから後は、自分の正義のために善のために生きるジャン・バルジャン。
少し悪知恵を働かせば十分逃げられた場面も数々あったのに、彼は自分に正直に、神に背かない方を選択する。それが見ているものの心を掴む。
作品は、ジャン・バルジャンの人生とフランスの革命に散っていった若者たちの生き様とを重ねているから、よけいに心を打たれる。

そして、警部ジャベール。法の遵守を自らの正義と考え、ジャンを追い続ける。彼の生き方も間違いではないのだろうけれど………。彼は最後の最後に自分の生き方に疑問をもち、生きる力を失ってしまった。ジャベールもあの時代の犠牲者かもしれない。

修道院のシーンでは、苦しみから解き放たれたジャンの表情がなんとも言えず柔らかで誇らしげで、あの表情を見て、この作品のすべてが救われたように思った。

それにしても、俳優さんたちの歌唱力、凄すぎる。基本的にミュージカルものは苦手で、あまり見ないんだけど、歌にこんなに引き込まれるとは…。高らかに響く声。感情を押し殺すように声をひそめて歌う場面。登場人物の感情がその歌声にのって、私の心にどんどん入ってくる。最後の革命の歌声なんかは、まだ今も私の心に響いてる。

本当に見てよかった!