あんがすざろっく

レ・ミゼラブルのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

レ・ミゼラブル(2012年製作の映画)
5.0
もともと「レ・ミゼラブル」は、舞台版のミュージカルで鑑賞していたんです。しかし視覚も聴覚も、映画用に仕上がっている僕には(笑)、歌の歌詞にのせてストーリーを語られると、内容がほとんど頭に入ってこないことに気付きました。どこに意識を持っていったらいいか、分からなくなるんですよ。ミュージカルでなくて、普通の舞台ならば台詞も物語もちゃんと理解できるんですけどね…。
だから僕には、ミュージカルは映画で観るのが性に合っています。

映画版の「レミゼ」は、1998年のリーアム・ニーソンとジェフリー・ラッシュ版を見ていますが、こちらはミュージカルでなく、ドラマに焦点を当てた作品になっていました。

今回僕が鑑賞したのは、ミュージカル映画の盛り上がりに拍車をかけた、2012年版です。
ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、エディ・レッドメイン、サシャ・バロン・コーエン、ヘレナ・ボナム・カーターって、どんだけスゲェキャストをassembleしてんですかっ‼︎⁉︎
しかも全員、とんでもない歌唱力‼︎

ジャックマンは先に「グレイテスト・ショーマン」見ていただけに、歌が上手いのは分かってましたが、驚いたのは、クロウの安定感ある歌声。
1998年版でも、僕が好きだったのはラッシュ演じるジャベール警部でしたが、今回も目が離せないのは、クロウが演じたジャベール。
彼が歌う「星よ」というナンバーが見事でした。
極端に歪んだ正義感から、ジャックマン扮するジャン・バルジャンを執拗に追い詰めます。
しかし、彼も職務に忠実だったまでなんですよね。彼の信念は、どんな悪も許さないという、強固な意志で積み上げられています。
だから、彼の信念が揺らぐ結末は、これはこれで切ないんです。

全編に出てくる訳ではないのに、その力強さでまるで映画全体を母のように包み込んだファンティーヌ役のハサウェイも素晴らしい。

それからもう一人、僕が惹きつけられたのは、エポニーヌです。
舞台版では重要な役だったようで(実はしっかり覚えていない)、今回の映画版での出番は少ないながらも、印象に強く残ります。
思いを寄せるマリウスに振り向いてもらえず、しかもマリウスの心を射止めたのは、エポニーヌが小さい頃一緒に育ったコゼット。
マリウスの願いを聞き入れ、エポニーヌはコゼットの行方を探して、マリウスと引き合わせます。
自分に気持ちが向く訳ではないと知りながら。
マリウスとコゼットが歌う愛の歌の裏で、エポニーヌが叶わぬ思いを切々と歌い上げます。
なんだかもう一度舞台版を見たくなってきました。エポニーヌの姿を追いかけたくなりますね。
演じたサマンサ・バークスも素敵です。

舞台版見てから結構経ってるはずですが、ジャン・バルジャンもジャベールも、ファンティーヌもコゼットもマリウスも、キャラクターはしっかり覚えてるものですね。

それから音楽です。
スーザン・ボイルが熱唱して話題になった「夢やぶれて」は、アン・ハサウェイが抑えきれない感情を表現します。
前述のエポニーヌのソロ曲「オン・マイ・オウン」、革命前夜を描写した「ワン・デイ・モア」も名曲ですね。

僕が一番好きなのは、「民衆の歌」です。
レミゼと言ったら、これが真っ先に思い浮かびます。
僕はスポーツ見ないので分かりませんが、サッカーの試合でも合唱されて有名なようです。
確かに、合唱したら高揚感ハンパないでしょうね。

監督はトム・フーパー。
映画界のオールスターキャストを束ね、実に魅力的なミュージカルに仕上げてくれました。
企画があがった当初はアラン・パーカーが監督するという話もあったようですが、僕はパーカー版も見たかったなぁ。
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