わたふぁ

サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへのわたふぁのレビュー・感想・評価

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銀塩フィルムの成分から、ハロゲン反応による感光の原理まで説明してくれて、そして生まれるフィルムの映像は、だから荒い粒子のニュアンスがあって面白いんだ、ということまで最初に説明してくれるので、知識不足はそれほど心配せずに見られる。

監督、カメラマン、カラリスト、俳優など何十人ものインタビューで構成された「現代のデジタルシネマについて」のドキュメンタリー。途中から疲れてくるほど情報量が多くて見応えアリ。
雑誌でいうところの“完全保存版”といっても過言ではないくらい資料映像の数もすごいし、あらゆる職種の人が多角的に話していて面白い。

90年代後半、sonyが一般ユーザーを視野に入れたハンディカムを発売し、同時期のドグマ95らへんの前衛達が遊び感覚で使い始め、その映像にサンダンスらへんの人たちは食いついたけど、大御所監督たちは否定的で様子見する中、sonyがHDまで解像度を上げ、いよいよルーカスがSWep2('02)で実験的かつ大々的に完全デジタル化に踏み切り、むちゃくちゃ叩かれた、けども、、っていう歴史の流れは興味深かった。

フィルムからデジタルの時代へ移行するのは、撮影から、ラッシュ、編集、視覚効果、カラー補正、完パケ、配給、映写まで、全ての工程においてメリットがあり、何より大事な「時間」と「お金」の使い方がまるで変わってくるのだから当然の流れ。
だがしかし、フィルム撮影の機会はまだ無くならず、その質感にこだわる物好きがまだまだ存在する。

タイトルの“サイド・バイ・サイド”は、[並んで・助け合って・協力して]などの意味があるが、ここでは[見比べる]という意味でも使われている。
フィルムとデジタルの両方を見比べられる移行期の現代で映画が観られることを今とても幸せに思う。