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サンタクロースをつかまえてのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

3.5
震災から約2年、クリスマス後の仙台にて鑑賞。ついさっき接客してくださったyumbo澁谷さんが、ついさっき見てきたばかりのページェントが、目の前のスクリーンに映し出されている。これは生まれて初めてのことで、映画と現実との境目が溶けてなくなる瞬間というものは本当に存在するのだ、今ここにあるのだ。というようなことを強烈に、にもかかわらずどこかふわふわしたまま実感させられる80分間でした。

震災直後のコンビニに、内側から新聞紙で目張りが施された状態。閑散としたアーケード。ダイエー(現イオン)の長蛇の列。まるであの日に巻き戻されたような気がして、苦しくて苦しくて仕方ありませんでした。どこにも怪我はしていない。家族も友人も死んでない。失ったものもない。この視点は映画なんかじゃなく自分自身のものなんじゃないか、と本気で疑ってしまいそうだった。

震災関連のドキュメンタリーと言えば、沿岸部もしくは原発周辺のものが大多数を占めています。被害の規模を考えればまずそちらへ目が行くのは当然のことですが、こうした目立たない部分が記録として残されるのはとても貴重なことなのだろうと思いました。大事なことを忘れないために、だけではなく、時には辛い記憶から目をそらしてもいいように。それらをあれこれ飲み込んだ上にふつうの毎日がある、ということを思い出すために。
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