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駆ける少年のBaadのレビュー・感想・評価

駆ける少年(1984年製作の映画)
4.8
この映画は、映画についての映画では勿論無いのですが・・・

十数年前にこの映画を見た時に、自分が映画に求めるもの全てがぎゅっと詰まっていてそれには何の過不足も無い、そんな映画だと思いました。

美しい海、荒々しい砂漠(厳密には砂漠ではない荒地です。ペルシャ湾岸の平坦な何も無い土地でしたが、地下に油田があるらしく、所々から自然と炎が上がっていて、その様子が荒々しい感じでしたが、風景としては野性味があって美しいというイメージです。)、孤立を恐れず、生きる事にどん欲な少年と、訊ねられればうるさがらずにちゃんと教えて子供を育てる大人。出演者達の持つ身体性の美しさと、周囲の環境をも含めてそれをきちんととらえるカメラ。溢れ出るエネルギー。

細かい部分は忘れました。

でも今思えば、私にとって何よりも大切だったのはそのロケーションでした。
イランのイラク国境に近い砂漠地帯。
そこにある油田の開発には日本の技術もおそらくは投じられていて、走る少年の背景には日本と同じ電柱や鉄塔が建っていたのでした。

その一点で、この映画が遠い外国の物語とは思えなくなったのでした。

(映画にとって大切な事全て 2012/3/24記)
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