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塀の中のジュリアス・シーザーのらのレビュー・感想・評価

3.8
ものすごい構成でぐいぐい引き込まれた。映画としての表現も、物語が進むにつれてどんどん洗練されていったように感じたのは気のせいだろうか。刑務所内の様々な場所で劇『ジュリアス・シーザー』の「稽古」を行なうという体なのだが、劇と現実が交錯して混じり合い、いつの間にかそこはローマ帝国に変貌している、という幻想的な趣もある作品。 

芸術の力がいかに強く、時に残酷であるか(「芸術を知ったら、監獄は牢獄になった」)。芸術の力と所在について考えざるを得ない。タヴィアーニ兄弟監督が、本作をドキュメンタリー映画ではなく、あくまでもメタ構造の劇映画として撮ったのも(ドキュメンタリーが芸術的でないとは言わないが)芸術に対する強い想いからなのかもしれない。
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