Violet

ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のVioletのレビュー・感想・評価

3.8
「トラと漂流した227日」っていう副題から、トラと友好な関係を築いて共に苦難を乗り越える話かと思っていたら。全然違う!!これはトラと漂流したことをメインにしているわけではなくて、まさにPiの人生のお話なわけだから、タイトルはLife of Piのままがよかった!😭動物との友情が芽生える話かと勝手に憶測しちゃうよ!観客呼び込むために副題が必要なのはわかるんだけど...

映画冒頭からいろんな動物が出てくるので動物好きにはたまらないし、ファンタジックな大自然の描き方は見ているだけでうっとりした。エンドクレジットまですごく凝ってた!

映画のラストでまさかのゾクゾク。あなたはどちらを信じますか?


✂︎----以下ネタバレ・考察-------




















作品に登場する様々な動物、ミーアキャットの可愛さやRichard Parkerの美しさ。
そして映像美。
海面いっぱいにオレンジ色の空が鏡のように映し出される海の上の朝日のシーンなんてもう...!
クラゲのシーンも幻想的。
地図に載っていない島(*涅槃仏の形をしている)の描き方もとてもファンタジックで見るものを魅了する。

*涅槃は、生死を超えた悟りの世界のこと。涅槃仏とは、釈迦が入滅する様子を仏像としてあらわしたもの。

特にこの島に着いてからはあまりにも幻想的で摩訶不思議な世界観すぎて、少しだけ違和感を覚える。
このちょっと感じた違和感が、ラストシーンで語られる第2のストーリーの伏線となっているのだからすごい。
トラのRichard Parkerと共に漂流した物語が、Piの作った御伽話だとしたら。こんなにも幻想的で現実味のない美しさの説明がつくような気がする。
でも、わたしはトラと漂流した話がいいな。


そして。
考えれば考えるほどわからなくなり色々なサイトで考察を読み漁りました!!笑

▼ Richard Parkerという名前
これは、ミステリー小説家として有名なエドガー・アラン・ポーが1837年に発表した長編恐怖小説「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」という4人の男達が海を漂流する物語に由来している。
物語では、小舟上にて物資が尽きたために、くじ引きで食料となる1人の生贄を決め、その生贄は殺され食料として他3人に食べられてしまう。その生贄となった水夫の名前がRichard Parkerであった。
そしてそのフィクション小説の発表から47年後の1884年にイギリスからオーストラリアへ向かう船が難破し、4人の男が漂流する実在事件が発生する。
漂流20日目に海水を飲んだことで衰弱し、仲間に殺されて食料となった水夫がいたのだが、なんと、その水夫の名前もRichard Parkerであった!!

これを契機に、水夫の間でRichard Parkerとは遭難とカニバリズム(人肉食)の悲劇を連想させる不吉な名前となったらしい。

▼Pi (π)
Life of Pi とはまさに、割り切れない人生を語るストーリーである。

Piはヒンドゥー教から仏教、キリスト教、イスラム教に至るまで、あらゆる宗教について深く知りたいと考えている青年であった。
多くの神に祈りを捧げてきたPiはしかし、恋人とは離れ離れになり、家族を失い、挙げ句の果てに漂流することになってしまう。まさに人生とは割り切れず不条理であることを痛感させられる。辛い。

タイトルにある227日を下記のように割ってみると...!!!
22÷7=3.142857....

▼ 「イノセント(純粋無垢)の喪失」
アン・リー監督本人のインタビューによれば、彼女の作品ではどの作品においても「イノセントの喪失」という深層テーマがあるとのこと。

純粋だったPiが、Richard Parkerに「これは俺の肉だ!!」と叫ぶシーンもそうだし、語られた第2のストーリー(人を殺し食べてしまった)が真実だとしたら、まさにこれらは「イノセントの喪失」を描いているといえる。納得。

▼ Richard ParkerとThirsty
作中では、飼育員がRichard Parker、トラがThirstyという名前だったが、手違いでトラの名前がRichard Parkerになってしまったと説明される。
それに関連して、Piが子供の頃に教会で「喉が渇いてるんだろう」と言われるシーンがある。
英語では"You must be thirsty”.
つまり、「あなたはThirstyに違いない」となる
!!!!!
と、いうことは。Pi= Thirsty= 飼育員。
Piがトラと名前が入れ替わってしまった飼育員であることを示唆すると捉えることができるので、第2のストーリーの裏付け?伏線?になると考えられる。

▼参考
https://www.tokyucinemas.net/sf/lifeofpai/#227-2
https://note.com/spicyferret_04/n/n901b78dc15c1

▼My Favorite Quotes
•I suppose, in the end, the whole of life becomes an act of letting go. But what always hurts the most is not taking a moment to say goodbye.ーPi

•Animals don't think like we do! When you look into an animal's eyes, you are seeing your own emotions reflected back at you, and nothing else.ーSantosh Patel
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