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ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日のmomonomamaのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしい映画です。ユージュアルサスペクツっぽいどんでん返し。超どんでん返しで衝撃を受けます。
ある日小説家ヤン・マーテルがカナダ在住インド人パイ・パテルのもとを訪れます。彼の青年期の冒険の話を聞くために。

そしてパイ・パテルの語る幼少時代から青年時代のお話が物語の本筋。
主人公の青年パイは、、、、アーヤンではないですか。
アーヤン、、、ホームランドシーズン4でキャリーにもてあそばれ、テロリストのおじにあっけなく殺された、、、、アーヤン。
彼、スラージ・ジャルマはこのパイ役がデビューでその2年後にアーヤンやったらしい。へ~~~~~~。

話は戻り、青年パイが家族で動物園の動物とともにカナダへ移住するために日本の貨物船に乗り、船が沈没するところから展開します。

嵐の中、ライフボートに乗り込む際になぜかパイのみが人間として生き残る。ライフボートにはシマウマ、バナナに乗ってきたオランウータン(オレンジジュース)ハイエナ、そしてリチャード・パーカー(トラ)が乗っていた。

パイの漂流生活が始まります。
時としてくすっと笑えるシーンを織り交ぜながら、そして何より透き通るような海など、映像がものすごくきれい。
トラのCGなんて見事です。素晴らしい。
リチャード・パーカーと心が通じ合えばいいのに、、と祈るような思いで見ます。ものすごい嵐のときのパーカーの表情を見ると涙があふれます。
途中、花園のような浮島でまた生きる希望を奮い立たせて一人と一匹は船出し、最後にメキシコに漂着。
パーカーはパイのことを振り返りもせずに目の前の森に入っていった。。。。
パイは心が通じたと感じたのに違ったんだ。。とショックを受ける。

と、入院先に保険の調査員がやってきて、
「そんなおとぎ話でなく、真実を話してくれ。なぜ船は沈没したのか」と。
ここから超どんでん返し。

実は生き残ったのはパイと、パイのお母さん、そして意地悪なコックと船員。
船員はボートに移った時に骨折し、コックが足を切らないと死ぬから、と船員の足を切断。その足を魚を釣るための餌にした。
パイの母が怒ると口論になり、コックは母を殺害、海に死体を投げ捨て、母はサメに食べられる。
怒り狂ったパイはコックを殺し、そして一人で漂流したと。
そう、泣きながらパイは調査員に話します。

こっちの話が真実なんですね。そして、どっちを信じるかは勝手だと。
リチャード・パーカーが後ろをふりかりもせずに森に入って行ったのは、過去にどんなことがあったにせよ、神様がついているから前を見て生きるんだと。
そういうことなのかな?

このお話にはベースとなる事件があって、それは「ミニョネット号事件」といい、1884年イギリスの船「ミニョネット号」が難波し、船員3人と給仕1人が救命ボートで脱出。でも船には食料がほとんど無く、弱った給仕を殺害し食料にしたという事件。この給仕の名前が「リチャード・パーカー」。

そしてこの事件を予言するような小説が事件から50年近く前に出ています。
「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」こちらは海を漂流中に食糧が尽きた4人の男が、「生贄」となる一人をくじで決めるという物語。くじの結果生贄となったのはなんと「リチャード・パーカー」という給仕だった。

寒気するような偶然なお話。
びっくりですね。
びっくりですが、映画は哲学的な映画でした。神の存在をものすごく意識して作られています。だからか、パイはヒンズー教とキリスト教とイスラム教を同時信仰しています。
パイはひどいことを恐ろしいことをしてしまったけどもそのことをパーカーと漂流した話にすることでパイの目線を少し違うところに持っていくことでその後の人生をまっとうに歩むことができた。
ってことでしょうかね?

考えさせられる深い作品でした。

(2016年視聴)
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