ポルりん

それいけ!アンパンマン 勇気の花がひらくときのポルりんのレビュー・感想・評価

3.4
幼児向けと思って鑑賞したら、大人でも全然楽しめる作品。


あらすじ

お城の生活に飽きてしまったキラキラ星のお姫様・キララ姫は、ある日お城を飛び出して、アンパンマン・ワールドへやってくる。


最近、7か月になる私の息子はアンパンマンがかなりお気に入りのようで、近くにアンパンマングッズを置くと満面の笑みを見せてくれる。
また、どうしても泣き止まない時は、「タケモトピアノ」のCMか「アンパンマン サンサン体操」を観るとピタッと泣き止みこれまた満面の笑みを見せてくれる。
息子はお気に入りのようだが、私自身はアンパンマンがどうしても好きにはなれなかった・・・。
確かに性格はいいのだが、その分、人間味がなく薄っぺらいように感じるし、子供に自分の顔を引きちぎって与えるが、それが原因で肝心な時に力が発揮せず、被害を拡大させている気がするのでといった理由からなのだが・・・。
その点、ロールパンナは正義と悪の間で常に葛藤しており、非常に人間味のあるキャラクターなので、「それいけ!アンパンマン」の中では一番好きなキャラクターである。(ただし、メロンパンナちゃんより後に生まれたのにロールパンナの方が姉という設定は気に食わないが・・・。)
このような事から、出来れば息子にはロールパンナかガンダムを好きになって貰いたかったのだが、残念ながらロールパンナには特に興味を示さず、ガンダムに至っては断末魔を上げる始末である・・・。
アンパンマンの力は恐ろしい・・・。

このような経緯から、「それいけ!アンパンマン」に興味を示しだし、本作を鑑賞する事になった。
結果的に息子は爆睡し、私はすっかりアンパンマンワールドにハマってしまった。
いやー、面白かった!!

今まではアンパンマンが好きではなかったのだが、本作を鑑賞して少し考え方が変わった。
アンパンマンは人間味がないと思っていたのだが、本作ではアンパンマンがお姫様に恋をするといった意外な一面を見せている。
更に、ストイックな正義感からあえて恋愛感情を押し殺しているような一面も見せるので、本来アンパンマンは人間味のあるキャラクターなのにそれを表では見せないだけではないのかと思えてくる。
もしくは、生まれ育った環境からか恋愛感情が分からないのか・・・。
また、天然もしくは不器用な一面も見せたので、今現在ではかなり興味深いキャラクターの一人である。

また、本作を鑑賞してアンパンマンが好きではなかった原因はカバオが大きい要因の一つではないかと思った。
そもそもあのカバは年がら年中腹を空かしており、暇さえあればアンパンマンの顔面を欲している。
アンパンマンも性格上断れないだろう。
それを良い事に少しでも腹が減ればアンパンマンを呼びつけ顔面をむさぼり食い、自ら努力をする事はない。
結果的にアンパンマンが危機に陥るのだが、そのような状況に置いてもあのカバは自分の食欲を満たす事にしか興味がない。
草食動物なんだから、腹減ったらそこら辺に生えてる草でも食ってろ!!

これが貧困層や親から虐待を受けているのなら話が分からなくもないが、とても貧困には見えないし、私が知る限りではあのカバが虐待を受けていると聞いたことがない。
恐らくカバオが利己主義的な思想に基づいた行動をするのは、親の教育が大きいのではないだろうか…。
考えてみるとカバオは不自然な敬語混じりの会話をするし、自分の母親をお母様と呼ぶ。
一体どういった教育方針の基で育てているんだ…。

そもそも、いくらカバとカバの間の子供だとしても、カバオといった安直な名前を付けるのは私は賛同出来ない。
息子の名前を命名するのは本当に苦労したし、色々な想いや願いを込めて命名したつもりだ。

カバオといった名前に何の想いや願いが込められてるっていうんだ!!
適当過ぎだろ!!

それに、小学生辺りの年齢は私も含め人の名前を逆に読みたがったりする。
その事を考えて命名したんだろうか。
カバオを見ていると適切な教育を受けているのかと疑問に思ってしまう。
もしかしたら、劇中で描写されていないだけでネグレクトを受けているのではないだろうか…。

カバオ母「空中浮遊してるパンがいたら呼び止めて食べなさい」

とでも教えられているのではないだろうか…。
そう考えるとカバオに同情せざろう得ないが、本作でカバオが嫌らしいな顔をしながらアンパンマンを肘で小突く姿を見ると、腹が立ってくる。
性格的に考えるとカバオは嫌いな部類に入るのだが、盛大にウンコを漏らしたり、人身売買されていたりとネタで考えるとかなり面白いキャラクターであるので、これまたキャラクターの一人だ。


本作を鑑賞してアンパンマンやカバオが興味深いキャラクターとなったが、バイキンマンも興味深いキャラクターの一人となった。。
私の勝手なイメージではあるが、バイキンマンは悪事は働くが、せいぜい学校にかびるんるんを放ったり、自分の欲しいものを強奪したり、しょうもない悪戯をする程度だと思っていた。
ただ、本作では私が想像していたバイキンマンとは違い、完全に悪に徹していた。

鉄の星の人々を巧みな話術で騙し、大量殺戮兵器を作らせた後に星を火の海にするだけでなく、地球(?)に帰還するや否やビーム兵器を使い町を火の海にするといった悪逆非道な行動をとっている。
子供向けという事で直接的な描写はないのだが、恐らく何人かは焼け死んでる。
更には逃げ惑う人々を笑いながら攻撃している。
まるで、「機動戦士Zガンダム」でカミーユが初めてガンダムMK-2に乗った時に、笑いながら無防備な人間にバルカン発射をした時と姿が酷似している。

バイキンマン「フフ・・・ハハハハ・・ざまぁないぜ!」

と言えば完璧だったのに…。
また、人質を炎の中に投げ入れるといった外道っぷりも発揮している。

何となくバイキンマンが悪事を働く前にアンパンマン達が未然に防いでいるイメージがあるが、実際に行えばここまで悪逆非道な行動をとるのだろうか・・・。
こんなんパンチでぶっ飛ばすだけでは皆の気が済む訳がない!!
ばいきんファミリー全員をさらし首にしないと気が済まないのではないだろうか・・・。


以上の様に既存キャラクターでも充分魅力的なのだが、ゲストキャラのキララ姫も非常に魅力的なキャラクターだ。
姫様キャラがゆえワガママで常識外れな所はあるが、実は人の気持ちを理解することができ、大きな勇気を持っているキャラクターである。
本作のテーマである本当の勇気とは何かという事がキララ姫を見ていると分かったような気がした。
また、アンパンマンとキララ姫のカップル(?)も結構似合っており、ついつい応援したくなってしまう。

また、キララ姫が覚醒するシーンも見事であるが、それ以上に覚醒するまでの一連の流れが素晴らしかった。

バトルシーンも中々で、特にラストのロケットアンパンチは圧巻であった。

テンポの良さやストーリー構成テーマ性、音楽、キャラクターなどあらゆる面でレベルが高い作品である。
ただ、キララ姫の声には少々違和感を覚えてしまった。
確かに雛形あきこの声質はキララ姫に合っていると思うが、あまりにも技術が無さすぎて浮いてしまっている。
折角、こんなにも魅力的なキャラクターだけにもう少し厳選して技術のある人を選択して欲しかった。


多少なりとも不満はあるが、子供だけではなく、大人でも満足出来る作品となっているので老若男女オススメ出来る作品である。
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