ずん

ムーンライズ・キングダムのずんのレビュー・感想・評価

ムーンライズ・キングダム(2012年製作の映画)
3.5
可愛い色使いと独特なカメラワークはまるで絵本の中の世界のよう。

12歳の男女の至って真剣な駆け落ち劇。

主人公のスージーはガッツリメイクでやけに大人びていて幼い弟3人を持つ4人兄弟の長女でどこか異端児なオーラを放っている。両親の結婚生活は破断しており、母が不倫していることを知ってしまう。

サムは両親を亡くし里親に育てられた孤児であり、ボーイスカウトの隊員。

そんな家庭や境遇に嫌気がさし、2人はある日の出会いをキッカケに文通で意気投合し駆け落ちを計画する。

終始シュールなんだけれど主人公の2人が至って真剣なのが面白い。
大人びたことをして成長していく15の夜ならぬ12の夜。

好きなシーンはサムが浜辺で釣り針で作ったカメムシのピアスをスージーに付けてあげるところ。
子供らしからぬテンションで真面目にするその行為はなんだかある種のエロチシズムを感じドキッとしてしまいました。

それから途中ナレーションで出てくるカラフルなおじさんがこれまたシュールなこと。ドキュメンタリー映画のように語ってます。

SF・アクションのオーラを完全に消した保安官ブルース・ウィリスも出てました。

とびきり面白い訳じゃ無いんだけれど、作品の可愛い雰囲気と世界観に入り込んで最後まで見れたのはこの作品のストーリー自体がしっかり纏まっているからだと感じました。

この監督の映画は全然見たこと無いのですが、絵本のような世界観を見事に映画にしていて監督の天才的な美的センスを感じた作品でした。
ずん

ずん