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ザ・マスターのKotaのレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
3.5
“もしどのマスターにも仕えないのだとしたら、教えてくれ。君は歴史上初の人間になるだろう。”

画が強い。冒頭船のエンジンにうねる波のシーンから、砂浜での海兵達のロングショット、高級衣糧店でのマネキン美女のワンカットショット、そして焦点を巧みに使ったあの光り輝く船との出会いのシーン。最初の30分でこれでもかというくらい素晴らしい映像を見せてもらえた。

マスター(フィリップシーモアホフマン)に出会ってからはどちらかというと狭い世界の中での閉塞感や緊張感を大切にしていて映画の色が変わった印象。彼とホアキンフェニックスの独壇場に見えて、実はエイミーアダムスの影の存在感が凄い(特に“あの”シーンに関係性の全てが現れてる)。この三人の顔には出さない微妙な歯車キシキシ具合が聞こえてくる。

見る前から、ジャケットにフィリップシーモアホフマンとエイミーアダムスが二人いる事に絶対意味があると思って見てたけど、結局明確な結論には至らず。PTA監督にはいつもすごく考えさられる。素晴らしい映画だとは思うけど、全体的に抽象的で彼の映画にしてはあんま好みではなかったな(アベレージが高い)。
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