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ザ・マスターのENDOのレビュー・感想・評価

ザ・マスター(2012年製作の映画)
4.5
『Joker』以降のJoaquin Cycle その2
浜辺で同僚達と作った砂の女に腰を振り海に向かって自慰をする。時間軸の目まぐるしい変化は意識の混濁によるものか?ラストに酒場で出会ったウィンを抱いて終わるのだが…そのグラマーさは砂の女と同じ特徴…まさかの妄想の産物?第2次大戦後軍病院の精神鑑定で明らかに常軌を逸した様子のフレディ・クエル(ホアキン)は戦争での自己抑制から突発的怒り以外に感情をほとんど失ってしまっている。自家製燃料カクテルでハイになることが唯一の娯楽。カメラマンの職をあてがわれデパートでの客との喧嘩(照明をお客さんを至近距離へと近づける奇行)で追い出され、農園で働くも年配の同僚がカクテルを飲んだことで昏睡状態になり全力で畑を逃走、この放浪の疾走感が最高にクールでいろんな職業のホアキンを見たくなる。だが、カルトまがいの新興宗教コーズの船に不法侵入し、催眠療法により教祖のランカスター・トッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)を慕う。実は彼の妻がゴーストライターであり精神的な拘束もされアルコールに依存し不能者として常に不安を抱えている。ふたつの欠けた孤独な魂同士が寄り添う。クエルは教祖としてのトッドの力量に猜疑心を募らせた結果、広大な干上がった荒野でバイクに乗り無言のまま再び失踪(疾走)する気持ち良さ。ホアキンのなで肩猫背と痩ぎすの身体、口唇口蓋裂が際立つ異形な顔だけで有無を言わせず最高。
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