広島カップ

カリフォルニア・ドールズの広島カップのレビュー・感想・評価

カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)
3.6
学生の頃、プロレスファンの友人と飲んでいて「あれは絶対に八百長ではない、真剣勝負だ!」と怒鳴られた覚えがあります。
ぐったりして無防備な相手の腹部目掛けて両の拳で何発も何発も殴り付けて内臓破裂が起きない真剣勝負が有り得るのか?
自分が完全に有利な態勢で相手の喉を締めつけているのにやがてはその手を弛めてしまうのが真剣勝負なのか?若い頃の私には不思議でした。
しかしこの作品を観ていて合点がいきました。
プロレスというのは最終的には3カウントを取ることが目的であって相手を病院送りにすることに関しての真剣勝負ではない。
なので腹部へのパンチも死なない程度のダメージを相手に与えることに関して真剣なのだということを。
それを「手を抜いている」だとか「八百長だ」と見てこの歳まで生きてきた自分が恥ずかしい。

んな、ことはドウデモイイ…笑

どさ回りの女子プロレスラー二人+マネージャーのロードムービー。
場末のリングから華やかなライトを浴びるタイトルマッチに出ることを目指して底辺での闘いが続く毎日。
時には金目当てのオッパイポロリの泥レスや身体を売ったりする三人の道中。

ドアを開けて部屋から出ていこうとして戻って来るマネージャー役のピーター・フォーク。
「あっ、一つ忘れてましたぁ」というセリフが頭の中にオートマチックに出てきそうなところをぐっと押さえて観ていると、小柄で狡っ辛いマネージャー役が彼にベストマッチ!
この女子プロレスという世界で最後まで生き抜いてヤるぜ!というバイタリティが滲み出てきます。
力強いタッチが正にアルドリッチ(享年65才)、本作が遺作になったのがつくづく惜しい。
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