Coco

空気人形のCocoのレビュー・感想・評価

空気人形(2009年製作の映画)
4.5
Air Doll
「生命は、その中に欠如を抱き、それを他者から満たしてもらうのだ」
わたしの大好きな吉野弘さんの詩が、物語の中で核となっている。何度も見たこの映画をもう一度見た。やはりいい。
でも好みは分かれると思う。男の性欲を満たすための人形だったノゾミが主人公で、彼女が心を持ってしまったことから話が始まるが、その描写がかなりストレートなので。
愛する人(純一)ができ、愛する人をも満たしたいと考えたノゾミは、悲しい結果をもたらしてしまうが、でも、「いつかは死ななきゃね。それでないと生き物で溢れてしまうから」と言っていた純一を、満たすことにつながったのではないかとわたしは思う。
みんな空っぽなのだ。ノゾミだけではなく。でも、人を満たし、人に満たされ、そうやって中身を満たし生きて、そして死んで行くのが人間だとすれば、切ないラストも笑顔になれる。
Coco

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