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空気人形のbibliophageのレビュー・感想・評価

空気人形(2009年製作の映画)
3.6
人間になりたかった人魚は、ダッチワイフでした。「心」を持ったのは突然なんです。ぼろいアパート。くたびれた中年男。朝の光に輝く、物干しからのしずくを雫を手にうけ、「き・れ・い」と一言。そしてメイド服で街へ出ていきます。街の人々とすれ違いながら、一軒のビデオ店へ。ビデオ店の純一と目が合い、アルバイトを始めます。

“心をもつことは、切ないことでした”。この映画の特徴は、すっごくセリフが少ないこと。少ないセリフ一つ一つが重いです。「あなたにはなーんにも関係が無い」。「命は自分だけでは完結できないようにできているらしい」ビデオ店の店長の朝の食卓。1人で卵かけごはんを食べようと卵を割ります。割った卵に殻が混ざってしまい。店長は指でそれを取ろうとします。なにげない日常に重なる詩に泣けて来てしまいます。
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