心を持った人形。それは人?それとも何かの代用品?
是枝監督作品。現実的な是枝監督がこんなファンタジーのような映画を作っていたとは。
と思いきや、しっかり現実的な映画でした。
人の弱さ、心の闇、アイデンティティ、承認欲求。
全編通して描かれるのは、寂しさや儚さといった人間の根源でした。
「私は空気人形。性欲処理の代用品」
こんなに悲しい口癖のある彼女だが、心を持った彼女が見た世界はどのように映っていただろうか。
世の中、上手く立ち回らなければ厄介な奴につかまったり、面倒なことに絡まれてしまう。
純粋無垢な彼女はこの世界の光と闇を見たのかもしれない。
何も知らない彼女に色々なことを教えてくれる人、存在価値を与えてくれた人、欲望だけをぶつけてくる人、満たしてくれる人。
すごく切ない終わり方だけど、悲しくはならなかった。
無機質な存在だった人形から、とても生命力を感じる作品だった。