Nakanishi

空気人形のNakanishiのレビュー・感想・評価

空気人形(2009年製作の映画)
4.8
この映画は是枝監督の作品の中でもかなり異色。おまけに岩松了があんまりふざけてないし(三木聡作品の見過ぎかもしれない)、退廃的な音楽が多いworld's end gilfriendのサウンドトラックは虚無感の中にかわいさが垣間見える。いろいろと異色。

映像は綺麗。ぺ・ドゥナも驚くほど綺麗。画面に映っている物ひとつひとつのデザインが洒落ているわけではないのにそう見える。撮り方がすごく上手い。

カメラワークもとても良い。撮影監督はリー・ピンビンという台湾の敏腕カメラマン。メイキングを見るとレールを敷いて撮影していた。この映画がきっかけでカメラの動きにものすごく興味を持つようになって、僕の映画人生は大きく変わった。

ビデオ屋で空気を入れた場面は、特殊なセットを作り、顔は本物、体は人形に見えるようにしていた。空気の抜け方にも監督が物凄くこだわっていて、一生懸命作ったんだなーということがよくわかる。
とにかくメイキングが面白いのでDVDの豪華版の特典ディスクを是非見ていただきたい!

ロケ地は中央区の湊という町で、駅でいうと八丁堀とか新富町あたり。すごく不思議な町で、廃墟と高層ビルが同じ景色の中にある。地上げしたけど失敗したらしい。
この場所が大好きで、あの空き地にも何回も行った。今はもうなくなってしまってとても残念。

内容はファンタジーだけど違和感なく見れる。のぞみ〜!と叫ぶ板尾創路がそんなに間抜けに見えないから不思議。

何度も観てるしこれからも何度も観ると思う。久々に観たけど、思ってた以上に良かった。思い出補正もあるね。
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