私はただの人形
空気だけの入れ物の私に
人はみんな欲望を注ぎ込む
不思議ね
終わってしまえば
みんな虚ろな目になるだけなのに
でも
もう無理よ
私の中は空気だけじゃないから
あの人がね
いるのよ
だから
もう
あなたたちは奥には入ってこれないの
ただ
それと一緒に何かもいる
ドロドロの言葉にならない何か
もしかしたら
これが心？
これで私も人間になれたの？
それなら嬉しいな
あの人の隣にずっといられるのなら
ぺ・ドゥナが素晴らしい
それは
大胆な脱ぎっぷりではなく
人形らしいたどたどしい動きでもない
ゲーセンで遊ぶ
船から手を振る
コンシーラーを渡す
輝く無垢な笑顔
そして
化粧する
並んでディスクを磨く
クイズを楽しむ
肩を寄せる
嬉しさの中に見える
消せない戸惑い
芽生える女心
その表現が素晴らしい
あの映画のテーマを鼻歌する場面
レストランのシーン
可愛いらしいさも抜群
相変わらず隙のないキャストと
人間の業の深さと切なさを描く是枝さん
さすがです
