茜

クロエの茜のレビュー・感想・評価

クロエ(2009年製作の映画)
1.2
散々周りを巻き込んで自分の不安が解決したらそれでハッピーみたいな浅いお話だと思いました。

私はクロエよりもキャサリンの方がよっぽど怖くて、彼女は自分の感情に任せて周囲を陥れるようなタイプの人にしか見えず。
私がキャサリンを決定的に「嫌だ」って思ったのは、家族、特に息子に対する向き合い方にエゴを感じるから。
息子がSkypeで彼女と別れ話をしてる時に、聞き耳を立てるだけじゃなく、わざわざ息子の部屋に入っていくところは一番ドン引き。
ウェブカメラに写った母親の姿を見て彼女がビックリしてて、息子からしたらかなりの屈辱だ。

とにかくキャサリンの行動は自分中心で、クロエはある意味その行動を模倣しているだけなのでは。
劇中でクロエがキャサリンに「ご主人も私もあなたの物じゃない。必要な時だけお金で言いなりにして、不要になったら捨てるなんて身勝手」って言われるんだけど、本当そうだよねーと。
身勝手に他人を巻き込む人は、その行いが返ってくるよっていうお話なら納得なのですが、その辺りも主軸が中途半端でハッキリしない。
クロエの心情も明らかな描写不足で、重要人物である彼女の動機や心境が伝わってこないから映画自体が薄っぺらく感じる。
意味ありげに使っておきながら、適当に後始末して終わらせる、この映画自体もクロエを都合よく扱い過ぎなんだよなぁ。

「終わり方が不満」という声が多いのも納得で、こんなに軽薄な終わり方でいいの?って私も思いました。
ご都合主義の極みみたいな結末で、これじゃ本当にクロエは「物」じゃないか…。
色んな意味でひたすらクロエが気の毒になる映画。
茜