こたつむり

カルトのこたつむりのレビュー・感想・評価

カルト(2012年製作の映画)
3.5
♪ 靴の色も指輪の色もましてや唇の色も
  君がもしも決めかねるなら
  今夜は神の意思で決めよう

数字で示すことは客観性に繋がります。
恣意的に用いると誤った結論になりますが、その辺りは慎重に取り扱えば良いこと。できることなら映画の感想にも取り入れたいですね。

そこで今回用いるのはニョロという単位。
これは白石晃士監督作品特有のバロメータです。高ければ高いほど、監督さんが遺憾なく手腕を発揮できたかどうかが分かります。

ちなみに本作は530000ニョロ。
これはかなり高い数値です。純粋な形ならば『オカルト』のほうがもっと高いのですが、本作は2回の変身を残していますからね。それを考えればスゴイ話です。

ただ、ホラー映画としての絶叫度は低め。
ぶっちゃけた話、ヤムチャレベルだと思います。不穏な雰囲気はありますが、監督さん自身で台無しにしていますからね(お供え物が大根だとか)。でも、本作の魅力は怖さではありません。

例えば、舞台の選定。
これは諸手を挙げて褒め称えたいところ。“借家感”が半端ないですからね。配置された家具の数や質も低予算であることを隠しません。開き直っていることが伝わってきます。

それでいて配役には有名人を起用。
芸能界に疎い僕でもあびる優さんは知っています。万引きしたとかで一世風靡したタレントさんですよね。530000ニョロの作品には似つかわしくないレベルだと思います。

それでいて彼女は目立ちません。
どちらかと言えば、ネオ(仮名)役の三浦涼介さんのほうが印象深いのです。この“さじ加減”は監督さんらしいと思いました。色々と大人の事情も絡んでいるとは思いますが。

まあ、そんなわけで。
白石晃士監督お得意のモキュメンタリーホラー。家に憑りついた“なにか”を除霊する…という序盤は飾りであり、本編はその先にあるので、それを承知で臨んだ方が良いと思います。勿論、監督さんの筆致を知っていれば容易に想像できるレベル。本当の闘いはこれからですよ。
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