チェケ

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのチェケのレビュー・感想・評価

5.0
スタンリー・キューブリック監督作品の中で最も好き。冷戦を痛烈に皮肉ったシナリオ、人類滅亡を匂わせる映像のBGMが「また会いましょう」だという強烈なブラックジョーク。登場人物が皆どこかしら狂っているが、ピーター・セラーズのストレンジラブ博士の演技はまさに神懸かり。ナチス式敬礼を繰り出す右手を左手で必死に制御するシーンで後ろのソ連大使役の俳優が笑いをこらえている。大統領、マンドレイク大佐、ストレンジラブ博士の一人三役をこなしたセラーズはキューブリックも認める天才。アドリブの力を黒澤明に認めさせた藤原釜足を彷彿とさせる。ピーター・セラーズを見られるだけでも満点の価値あり。イギリスのコメディアンとしてはモンティ・パイソンやローワン・アトキンソンに先行するレジェンドのはずだが日本ではどうもいまいち評価されていないような気がする。
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