Tutu

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったかのTutuのレビュー・感想・評価

4.3
アメリカのとある空軍基地の司令官が、何をトチ狂ったか自らの指揮下にある哨戒飛行中の爆撃機にソ連への先制核攻撃を指示する。事態を察知した米国政府首脳はソ連とのホットラインを形成し事態の収拾を図るが。

Theブラックコメディ。異常者と無能だけで成り立っているこの作品、異常者の異常者による異常者のためのキチ◯イ理論の応酬が続く。狂乱の会議は結末を迎えてもなお踊り続ける。
核で先制攻撃したら全面報復される→それなら先に敵の報復力を叩くべきだ→つまり先制攻撃だ、というトンデモ理論にはただただ脱帽。完全に頭おかしい。

キューバ危機をどうにか乗り切ったのがこの作品のわずか2年前。このタイミングでこんな趣味の良すぎる映画を上映できることについては、色んな解釈があるんだろうなあと思う。上層部の判断ミスが招く悲劇への警鐘とも、無能(かどうかは分からないけど)な上層部への痛烈な皮肉とも。第3次世界大戦が起こらなくて良かったね、という安堵感かも知れないし。

「Dr.Strangelove」という響きが何だか凄くカッコ良い。この博士、出番はあんまりないんだけど、とにかくインパクトが強すぎる。パッケージの博士は腕まくりをしてるんじゃなくて、癖になっちゃってる「総統」への敬礼を必死で抑えてるところなんだね。
邦題のせいでこの博士が何かやらかすのかと思うところだけど、実際はそうでもない。何でこんな邦題にしたんだろ。しかしピーター・セラーズ1人3役とは。正直全然気付かなかった。すごい。

核の脅威を主題においたゲーム『メタルギアソリッド』シリーズにも確かストレンジラヴ博士という人物が出てきたような。久々にやりたくなった。
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