やま

undoのやまのレビュー・感想・評価

undo(1994年製作の映画)
3.8
ある二人のカップル。彼女が、強迫性緊縛症候群になり、何もかもを紐で強く縛ろうとする。なにか解決策がないかと彼女を思い、向き合う彼。

岩井俊二だけでなく、豪華なスタッフで作られた今作。映画らしい映像感がたまらなく良い。篠田昇さん本当に凄いな。

紐が張り巡らされている部屋の様子は、もはや芸術としかいいようがない。ダークな話なのだけど、映像はどこか神秘的。
二人の思い出の写真も糸でホラーチックに縫われてる。

彼は、彼女をキツく縛ることに夢中になり、そしておかしくなっていく様子だった。彼女の最後は、まるで蜘蛛に捕らわれた獲物のような姿だった。それもまた美しいんだけれど。

単純に、彼が彼女を強く抱きしめてあげるべきだったのかと。紐じゃなくて、彼自身が彼女を強く抱きしめる。その行動があれば、未来は変わったのではないだろうかと。

彼は結局ただひたすらに、彼女を縛り付ける。しかし彼は眼を覚ますと、自分がきつく縛られていた。そして彼女はいなくなっていた。ホラーな終わり方。なんで最後こうなったんだ。

結局、僕らは、縛られていたのか、ほどけていたのか。なんて映画らしいセリフなんだと。

悲しみに溢れた音楽と、この光を利用した独特な神秘的映像は、たまらなく好みだなぁ。
やま

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