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東ベルリンから来た女のakrutmのレビュー・感想・評価

東ベルリンから来た女(2012年製作の映画)
4.0
ベルリンが東西に分断されていた時代に、東ベルリンから東ドイツの田舎町に左遷させてきた女医バルバラが、西側に脱出しようと試みながら過ごす日常生活を物静かなトーンで描いています。東ドイツのような監視社会では日常生活で接する誰もが体制側の人間である可能性があるので、周りの誰にも心を開かず黙々と仕事に徹するバルバラと、西にいる恋人のヨルクと会っているときだけの生き生きとしたバルバラの対比が、まさに当時の東ドイツの状況を物語っています。最後のバルバラの決断はいろいろと解釈することができると思いますが、個人的には、医師としての使命を優先したけれど、西側への脱出はあきらめていないと解釈しています。最後のシーンでもアンドレに対して笑顔を見せなかったのは、そのような意思を強く表しているように思えます。

ところで、バルバラを演じたニーナ・ホスをどこかで見たように思いながらこの映画を見ていましたが、調べてみると同じ監督の作品である『あの日のように抱きしめて』(こちらはずいぶん前に見たのですが)に出ていたのですね。気づかなかったけど、アンドレ役のロナルト・ツェアフェルトもいっしょに主演しています。ちなみに、個人的には『あの日のように抱きしめて』のほうが心を動かされました。
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