じゅんP

同じ星の下、それぞれの夜のじゅんPのレビュー・感想・評価

同じ星の下、それぞれの夜(2012年製作の映画)
3.4
吉本主導の沖縄国際映画祭出品作。

3編からなるオムニバスで、アジアの拠点及びそのパイプを有効活用したい吉本と、おそらくこれを次に繋げたい監督陣による「同じ資本の下、それぞれの思惑」。…なんて穿った見方したくはないですが、透けて見えてしまってるので仕方ないですよね。

エピソード同士を繋ぐため各編、空に流れ星→同じ時間・異なる場所でそれぞれの願い事が〜という共通項が仕込まれています。

1 富田克也×タイ
最もエゴイスティックで次作への踏み台感を隠す気もないような『バンコクナイツ』のプロトタイプ。空族が積み上げてきた引き出しがある分、ディープに異国の風土を捉えていてルックも見栄えがするので、単体では一番面白かった。

2 冨永昌敬×フィリピン
ムーディー勝山から滲み出る人柄に沿った主人公像や、流れ星の自然な組み込み方など、変な皮肉抜きに一番ビジネス的要求に柔軟に応えている印象。ストーリーもしっかり起伏があるので、良い意味で広くウケそうなのもたぶんこれ。

3 真利子哲也×マレーシア
言語のギャップと価値観のギャップによるディスコミュニケーションを、一番わかりやすく可笑しみに変換している。この尺だからこそ成立している小粒なエピソードではあるけど、映画全体の〆としてはおさまりのいいラストの担い手。
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