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ゼロ・ダーク・サーティのmikanmcsのレビュー・感想・評価

ゼロ・ダーク・サーティ(2012年製作の映画)
4.0
昨日に続き、キャサリン・ビグロー監督作品。タイトルは「軍事用語で午前0時30分を指す」(Wikipedia)そうです。ビンラディン急襲作戦が未明に行われたからですね。

9.11同時多発テロの主犯であるオサマ・ビンラディンを追うCIAの新人女性情報分析官 マヤの10年以上に及ぶ追跡活動を描いています。本作は160分と長いですが、10年間を主要なエピソードで区切って描いていくので、ダレる暇もありません。観終わったあと、なんかフルコースをたべたようなお腹いっぱいな重厚感を感じました。Wikipediaによると2011年5月にビンラディンが射殺され、映画は2012年には完成した(公開は延期され2013年5月)そうなので、制作スピードもメチャ早いです。それでこのクオリティ。さすがですね。

本作は事実に基づくそうで、ニュース等で9.11からビンラディンの殺害までの顛末は知っていましたが、その裏でこのような地道な活動が積み重なっていたとは、知りませんでした。映画はCIAによる容疑者の拷問、作戦の失敗、自爆テロによる同僚の死、上層部の官僚的対応、など米国にとって気まずい部分も容赦なく描きます。

主人公のマヤは分析官なのでもっぱら頭を使う活動に従事しますが、同僚で唯一の友人の女性が自爆テロで殺されてからは、ビンラディン発見に一層の執念を燃やしていきます。「ハート・ブルー」「ハート・ロッカー」もそうでしたが、ビグロー監督の作品には「何かに取り憑かれたかのように、対象に執念を燃やす人物」がよく登場しますね。熱いわ~。

本作は「悪者をやっつけてヨカッタ、ヨカッタ!」というような単純な描き方はしていませんが、基本的にアメリカ目線です。一方、現実には米政府&SEALSはパキスタンの了解を得ず勝手に国境を超えて急襲&殺害作戦を実行しているわけで、「9.11の報復」とはいえ、それってどうよ、とは思いました。(オマエ、ソウイウトコヤゾ。。。)

あ、あとクライマックスは夜間作戦なので部屋を暗くして鑑賞したほうがいいかもです。部屋が明るいと画面が真っ暗で、何してんのかじぇんじぇんわかりません。。
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