MOTO

マルタのMOTOのレビュー・感想・評価

マルタ(1974年製作の映画)
3.5
遠近法が効きすぎだけどどこを切っても絵になる美しい映像。全ての会話から理性を消しゴムで消してしまったかのような会話。

(あからさまな嘘)(包み隠さない本音、保身)(どこかで聞いたことがあるような取ってつけただけの言葉)で構成される会話劇は、古き良き前衛といった感じで心地良い。

美しいヒロインマルタは外に出れば父親を含む全ての男達に淫売扱いされ、手に入るかもと思われれば一転して処女扱いされるが、彼女から発せられる言葉もまた欲望と保身だけといった感じの世界観。

彼女の結婚から物語は動き出し、サディスティックな夫にいたぶられる彼女の姿は当時は新鮮だったのかもしれないが、蛸壺屋以降の世界に住んでいる我々には少々退屈。

理性のぶっ飛んだ会話はDV被害にあった彼女のぶっ壊れてしまった世界、ぶっ壊れてしまった言葉から逆算してのものなのかなあ?とか、劇中で唯一人間の言葉を喋っている善人の男から発せられるのは(意味は通じるけど何の役にも立たない言葉)なのは分かりやすく意味深だなあなどと考えているうちに映画は終わった。

絵は美しいけど刺激的なようで退屈な映画。
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