DV夫に抑圧される女性マルタを描いた社会派メロドラマ。
父親と共にローマに旅行中のマルタだったが、異国の地で父親が急死してしまい、財布も盗まれてしまう。
ドイツ大使館に駆け込み何とか帰国する事が出来たマルタは、ローマで出会ったヘルムートと再会し、彼と結婚する事になる。
しかし、マルタの母親は夫の死により酒と薬に溺れてしまい、夫の後を追うように死んでしまう。
また、両親を失ったマルタに追い討ちをかけるようにヘルムートによる恐怖の抑圧生活が始まる・・・。
このヘルムートが最低最悪な野郎でイライラするし、言いなりとなっていくマルタを見ているのが辛い。
聞く音楽や読む本も制限され、日焼けを強要するなどやりたい放題。
・・・しかし、単純にヘルムートだけが悪者と言い切れないのが怖いところでして、マルタもマルタで精神的におかしな部分があり、被害妄想なのでは？と思わせる構成が面白い。
特に「豚の腎臓のスープ」の下りなんかは観客でさえも「あれ？夫婦どちらの言い分が正しかったっけ？」と混乱する巧みな演出だった。
マルタの首に噛み付く癖があったり、家に帰る時もマルタに開けて貰うまで待っていたりと、ヘルムートはヴァンパイアのメタファーなのではないだろうか？w
ミヒャエル・バルハウスお得意のカメラワークも冴え渡っていて、二人の周囲をグルッと周る所は名シーンですし、リアクションが対象的なジェットコースターのシーンはお気に入りw
ただ猫をいじめるシーンはいくらファスビンダーでもコイツざけんなよと思った😡
それにしてもラストは恐ろしい！！
やってくれるなファスビンダーと感心しました。
