Shu

アンチクライストのShuのレビュー・感想・評価

アンチクライスト(2009年製作の映画)
2.5
ずっと気になってた「ANTICHRIST」(R18+)
金曜の夜に観に行ってきた。
公開は実は2009年であまりのショッキングな内容に日本公開は絶望視されていた作品。
性描写がかなりストレートなのでそれも理由のひとつだろう。
ある夫婦がバスルームでの激しいセックスの最中、幼い息子が窓から転落死してしまう。
その悲劇的シーンをヘンデルのオペラをバックにモノクロのスローモーションで描写するプロローグが不謹慎ながらとても美しく印象的。
このシーンに様々な伏線が張り巡らされていたことに後々になって気づいてゾッとした。

悲しみと罪悪感で精神を病んでいく妻。

セラピストでもある夫は妻に「最も恐ろしいものは何か?」と問う。

「森」と答える彼女。
そして2人は森の奥深くの別荘へ。
しかしそこで狂気の時が…
そしてやがて彼女の「罪悪の正体」が現れる。

登場人物は事故死した幼い息子を除いて2人だけ。名前すら出てこない。
シャルロット・ゲンズブールの目を背けたくなるようなこれでもかという躊躇ない迫真の演技にはもう脱帽。
第62回カンヌ国際映画祭で女優賞を受賞したのも納得…が、しかし正直あんなシャルロットはちょっと見てられなかった。
暴力表現が痛過ぎる。
あのラース・フォン・トリアー監督作品なのである程度は覚悟はしてたがこれはちょっと…
鬱病の病み上がりに撮った作品らしいけど治ってないんじゃ…?
暴力的な殻の下には繊細な精神が泥のように詰まっていた印象。
象徴してるのであろうメタファーが私の拙い知識では対応しきれなかったのが些か悔しい。
おぼろげに女性性に対する罪悪と救済が象徴されてるような気もしなくもないがそれにしても…だ。

宗教観も違い、キリスト教にも疎い自分の中でもまったく消化しきれない、いや消化してはいけないだろう。
兎にも角にも俗物の自分には半分も理解できない作品だった。
深く考えるのはやめておこう。
なんか全くまとまらない感想になっちった。

ヘタをするとトラウマにでもなりかねないので
くれぐれも興味本位でだけでは観にいかぬよう。

最後にポスターのタイトル表記「ANTICHRIST」の最後の
「T」の文字が「♀」になっているところが象徴的でありました。

(2011年03月10日レビュー転載)
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