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エンド・オブ・ザ・ワールドのAZのレビュー・感想・評価

3.7
地球最後の日どのように過ごすか。あらゆる人が自暴自棄になり、自由に過ごそうとしている中で、欠かさずやってくる家政婦さんが素敵で、終わりゆく人生をいつも通り平然と過ごそうとする姿が印象に残っている。いつも通りに生きるということは、自分の生き方を肯定しているということ。


終始淡々としているドッジ(スティーヴ・カレル)。つまらない人間にも見えるが、全てを包み込んでくれるような人間にも見える。このドッジのポジションが面白く、どこか傍観してこの世界を見ているように思う。その為、終わりゆく世界の中で変わりゆく人間模様を共に観察している気持ちになった。

またペニー(キーラ・ナイトレイ)の自由奔放な姿が可愛らしくて暗い世界観を明るく彩ってくれていた。この対照的な2人が共に過ごしていく中で、互いに惹かれあっていく姿が良い。

世界が終わりに向かおうとする中で、今まで関わりのなかった隣人と関わりを持つ。そして、その人の人柄を知っていく姿が不思議な感覚。新しい関係が出来上がっていくなかで、それが終わろうとしている姿がもどかしく切ない。いくら親しくなろうとも、もうすぐその関係は終わってしまう。

自分もアパートに住んでいるが同じ建物に住んでいる人達がどんな人かは知らない。関係を持ってみると素敵な関係になるかもしれないし、ならないかもしれない。

この2人ももっと早く関係を持っていたらどうなっていただろうか?必ずしもこのような関係になっていたとは限らないだろう。

人と人とが出会うタイミングってすごく大事。この2人は世界が終わる直前に出会えたからこそ素敵な関係になったのだと思う。


地球が滅びゆく世界の中で、良い面悪い面をバランスよく、そしてユーモアを持って表現されていたと思う。ドッジが高校時代の恋人に最後まで会わなかったのがよかった。手紙はもらっていたものの、状況は変化している。人生が終わるからといって、過ぎてしまった過去を掘り返さない彼の態度は、この世界を受け入れようとする強い包容力を感じさせた。

ペニーが彼の元へ戻ってくるシーン、そして見つめ合いながら終わっていくストーリー。切なくも幸福感を感じさせてくれた。人生最後の時間にペニーのような素敵な女性に出会えたら幸せだよ。

捨てられたワンちゃんも可愛く、素敵な最後の時間を見せてくれる作品だった。


○良い面
・家政婦さんの生き方が印象的
・良い面悪い面がバランスよく描かれている
・終わり方が切なくも幸福感がある
○悪い面
・少し地味な作品ではある
・2人が結ばれるには早すぎるかなと思う(ペニーがちょっと軽いかも)
・キーラ・ナイトレイとスティーヴ・カレルが結ばれる事に抵抗感が...
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