B級怪獣エイガ

ダークホース リア獣エイブの恋のB級怪獣エイガのレビュー・感想・評価

4.3
リアルなガチのダメダメ人間を『ウェルカムドールハウス』のトッドスロンズがまた甘え無しで描く。

正直(特に後半)訳分からん。
しかし、訳分からんで終わらせたくない、終わらせられないものが今作にはある。
観客を突き放しているような演出が目立つが、主人公デイブのダメさが結構リアルでちょいちょい共感できてたりと根底はしっかり掴まれてて「訳分からん」と振り払い切れない感覚がある。

そしてこの感覚がまさにこの俺が普段実際感じている突き放したい『現実(デイブに共感している部分の現実)』というものと合わさりとてもキツい。突き放せればどんなに楽か。

多分監督は伝えたいことが割とはっきりしてると思う。
でも実際、俺自身ハッキリとは分からない。でもちゃんと考えればわかるような作りになっているような……
トイザらスのロゴ様にぼやかされ我々は試されている。そう思わされる魅力と説得力が妙に強い。

これがトッドスロンズの強みだと思う。ありがちな独りよがりのアーティスティック作品の顔をしているように思えてもどうしても突き放せない嫌な説得力があるのだ。
この作風が今回の『どうすればいいのか''分からなく''て突き放したいけど突き放せない現実』と大きく重なり心に引っかかる物を少なからず残していった。

そしてまた今作もウェルカムドールハウス同様BGMの使い方がなんとも言えない。BGMが少ない今作において、基本的に音楽をかけるのはいつもデイブで、しかし車のエンジン止めたりすると止まるなど映画にいたのに現実世界に引き戻されるような効果を担ってて非常にいじわるで良い。

トッドスロンズ、かなり気になる監督になってきたぞ。もっと他の作品もみてみよう。