大槻駿介

風立ちぬの大槻駿介のレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.3
この堀越二郎という人は、戦争のためではなく、ただ純粋に良い飛行機を作りたかっただけなのだと伝わってきた。その純粋さがかえって悲しくなる。
物語中、爆弾を積まなければもっと軽くできる、と発言し、みんなに笑われるシーンがあるが、そこに彼の戦闘機ではなく、純粋な飛行機への想いが象徴されているのだと感じた。

妻の菜穂子は健気で、初夜のシーンや煙草を吸う二郎の横で手を握るシーンでの、弱った身体ながらも妻としての役割を果たそうとする姿に心を打たれた。

なにより衝撃的だったのが、戦争の描写が一切ないこと。ここから宮崎駿監督がこの映画で伝えたかったことが分かった気がした。
これは反戦映画でもなければ、零戦讃美の映画でもない。ただ自分の夢を叶えようとした一人の男の物語だ。そう解釈すると、すんなり腑に落ちた。名作だと思います。