津軽系こけし

風立ちぬの津軽系こけしのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.9
美しきジブリの破滅


☂️スタジオジブリ制作作品
☂️監督・脚本・原作は宮崎駿
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久々に映画で号泣できて気持ちよかった


🔷第二次大戦に活躍した戦闘機・零戦の設計者である堀越二郎の半生と、小説家の堀辰雄の実体験をもとでにした宮崎駿自身の私小説。
主人公の堀越二郎は、創作家としての宮崎駿を限りなくトレースした存在であり、つまり今作は彼の作家としての経歴(つまりジブリそのもの)を自省する試みなのだ😶😶


🔶菜穂子が零戦のメタファーであると考察する人もいるが、私には彼の人生そのものを表象した存在であるように思える

作家(だけでないあらゆる仕事)には、人生に犠牲を払わなければいけないという側面がある。彼女はその犠牲となったあらゆるものの象徴であり、だからこそラストシーンは全てが無に帰した主人公に”人生”を謳いかける美しいシーンなのである。


🔷もちろん構図や心理表現にも優れており、意味的な運動も含めたアニメとしての高い表現性を湛えている。

それから、効果音を人間の声にするという不思議な試みも、いぶかしんではいたが導入の地震のシーンで驚嘆させられた。人力を尊ぶ職人主義の宮崎駿作品だからこそ成り立つ芸当でもあるのだろう🤔🤔

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☂️まとめ☂️
ジブリ作品は今作とかぐや姫だけ観れておらず、遠分観ることはないだろうと思っていたが、YouTubeで感動的な予告編を観たせいでいてもたってもいられなくなってしまった。その結果、号泣モノの傑作であったのだから、映画の出会いというのはわからないものである。
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