はわわ

風立ちぬのはわわのレビュー・感想・評価

風立ちぬ(2013年製作の映画)
4.4
美しく儚く切ない物語!
こんなに素晴らしい映画になぜ気付かなかったんだろう。


公開当初そこまで話題になっているイメージが無かったのでスルーしていたが、
見る機会があり鑑賞。

WW2時代にて、戦闘機の設計士として働く男性が主人公。
彼の飛行機に対する夢と深く切ないラブストーリーが描かれる。

たしかにジブリの他の人気作品のように派手な展開やストーリーの大きな起伏は無い。
なので超ヒット作にならなかったのは理解出来る。
でも静かな展開ながらここまで心動かされる映画にはなかなか出会えないと思うほどいい映画だった。

見始めたときは主人公の声優さんの演技のぎこちなさが気になった。
しかし次第に、主人公の見返りを求めずにひたむきに努力する優しい性格にぴったりだと感じるようになった。

主人公の心の中と現実がシームレスに繋がり合う曖昧な演出がまさに夢のようでよかった。
幼い頃から大人になった後も、同じ姿で彼の心の支えであり続けるカプローニさんが非常に逞しく、魅力的に見える。

また運命のように導かれあった主人公とその恋人のラブストーリーも美しかった。
飛行機に人生をかけるというこの映画の主軸を邪魔せず、スムーズに物語に挿入されながらも、彼女もまた彼の人生そのものであったということがよくわかった。

彼女が特別な描かれ方をしていなくても、キャラクターと一緒に息を飲んでしまうほど美しくみえるのは、さすがジブリだと思った。

彼女との出来事は間接的に描かれることが多く、子供にはわかりにくいと思ったが、
大人には響く映画だと思う。

ラストシーンでは彼の人生で大切だった色々なものを失い絶望的になりそうなところを、
美しく爽やかな草原の中で彼はいつも通りの穏やかな声で話す。
見ているとキラキラと輝くものに包まれる感覚になり、そのまま流れる主題歌の本当の意味を知り涙が溢れる。

そして映画のキャッチコピー、「生きねば。」を見て再び泣ける。

久々に友達に勧めたいと思う映画だった。
おすすめ!
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