けーはち

かぐや姫の物語のけーはちのレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
3.9
全編、墨絵と水彩調のアニメで、ひとりの人間として生きたかぐや姫の人生を描く『竹取物語』の再解釈。昭和の親父の説教臭い人生訓だとかを通り越した俺流哲学、世界観を全力でぶつけてくる。それでいて時代劇ファンタジーとしての考証はこだわりぬいていて、印象に残るのはクライマックスの月の天人が降りてくるくだりで、ケガレのない永の時間を生きる彼らは、ふわっとしたノーテンキなサンバを鳴らしながら降りてくる。シリアスな場面でまぬけに感じるからこそ、完全に圧倒的な隔絶が感じられるのだ。この演出力はすごい。最後まで、高畑勲監督は宮崎駿の先輩として日本を代表するアニメーションの巨匠だった。R.I.P.