石川

かぐや姫の物語の石川のレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
4.5
映像としては本当に素晴らしい。質感とか空気がどれだけ乾いているかとかまでわかりそう。
人の説明・状況の説明のための不自然にわざとらしい描写・台詞がいくつか気になった。この映画全体の雰囲気でこの人がこの場面でこの言葉は選ばないだろうと思うところもいくつか。
内容面では、かぐや姫の美しさがわからなかった。かぐや姫が美しいのはこの世のものではないからなのだと思うが、この映画のかぐや姫はこの世のものでしかなかった。かぐや姫が地球に来たのは地球の人間に近い感性を持つからだということにしたのだからああ描くのは正しいのだろうが、最初の竹から出て来るところと最後の月からの迎えだけでは説得力が十分でないように感じた。月の住人が説明のしようのない圧倒的な何かを持っているのは理解は出来るが、かぐや姫自体に地球の人間ではどうにも理解の及ばぬものを感じられない。
竹取物語の時代に月が選ばれるのはわかるが、今この時代に映画化するとなるとどうして月なのかは考えなくてはならないと思う。人間は月に足を踏み入れている。あの月の住人たちなら月には何もないように見せながらそこに住み続けることは出来なくないとは思う。ただ偶然月に生まれて、地球との関わりを持って、そこから仏教に影響を与えたのか。それか、彼らの、少なくとも種としての始まりが、地球で悟りを開いて月に移り住んだ者たちなのか。
石川

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