砂米

かぐや姫の物語の砂米のネタバレレビュー・内容・結末

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

こんなに泣いてしまうとは思いもよりませんでした。悲しい気持ちだけじゃなくて悔しいって気持ちもすごくある。
すごい作品だと心から思うけど、かぐや姫の気持ちを考えると疲弊してしまうので何回も観たいとは思えない。

かぐや姫が月に帰ってしまうのは分かってたし、悲しいテイストと聞いてたのでかぐや姫が笑ってたりしても胸が詰まる気がした。
お忍びでお花見に行って桜を見上げて笑ってるシーンとか。

物語自体は面白いけれど、総じて男性が徹底的に最低最悪に描かれていてトラウマものだと思う。それくらい露骨だったし、そんな男の人が何人もいるので観ててもういやだ…となった。
駆け落ちしようと言った捨丸兄ちゃんも既婚者でことごとく辛い気持ちに落としてくる。
最初のかぐや姫を見つけて喜んでるおじいさんに若干の、正直に言うと生理的に受け付けないものを感じてたけど、あれも作為的だったんだろうなと思います。 そのくらい男が最悪なのが徹底して表現されてた。
こんな地獄でこの時代の姫さん達は大丈夫だったんだろうか、いや大丈夫じゃない(反語)
かぐや姫はよくここまで耐えたし、父親を嫌わないでいれたなと思う。
かぐや姫のお披露目?の飲み会の男達の言葉が本当に耐えられない。かぐや姫を『個』として見ずに『女』という道具として捉えてるのを悪気もなく喋る。耐えられない。まだかぐや姫は10代だってのに。自分が『女性』という性別に対しての理解がまだ不安定な時にそんなことを言われたらトラウマだし性に対して拒絶反応が起きてしまうよ。

かぐや姫がディズニープリンセスだったら立ち上がって自分の意見を謳い社会に屈せず、最後は好きな男の人とくっ付いてハッピーエンドだった。(もしくは相棒ができる)だから観れた。
でもかぐや姫はずっと悲しみを背負っていて、本当の自分を出せず踏みにじられていた。最後のかぐや姫の顔は泣いていた。

ただ、母親と女中の女の子が側にいてくれたことだけが救いでした。
こんなに女の人が苦しむ気持ちを理解してる高畑さんは何者なんだろう。凄いとしか言えないです。
古典の竹取物語をオリジナルの考えで解釈して、それもかぐや姫の気持ちを主体にして描き切ったのも凄いです。教科書で話だけは理解してた古典がこんな生き生きとした話になるとは。

全体的に脚本、作画、演出、音楽など良質な作品でした。キャラもみんな立ってる。声優もみんなめちゃくちゃ良いです。特に母親役。

植物とか自然の描写がわくわくした。
木蓮、桑の実、キジとかぱっと見で分かるのが嬉しかった。

帝。噂に聞いていた以上でした。

月の人が迎えにくるシーンは絶望的なのに、楽しげな音楽でドンチャカした感じが悪夢みたいですごく良かった。パプリカのパレードと同じものを感じました。

たけのこって冷やかしの名前がかぐや姫にとって大切なものになること。
砂米

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