さうすぽー

かぐや姫の物語のさうすぽーのレビュー・感想・評価

かぐや姫の物語(2013年製作の映画)
2.5
自己満足点 49点

素晴らしいと思うけど、個人的に好きじゃない映画をご紹介します。

アニメーション映画の"もう一人"の巨匠、高畑勲や遺作である作品ですね。

キャラクターの心情はとても丁寧です。
特にかぐや姫の心情には何度か心動かされました。
親の言いなりで城に生活し、お見合いの結婚をさせられそうになる様は一般の女性の心情とも重なる気がしました。

声優陣も決して悪くは無いと思います。
かぐや姫を演じた朝倉あきや翁の地井さんが特に素晴らしかったです。


この映画では本物の水彩画をアニメーションの動きにするために、破格の規模と作画枚数をかけたそうですね。

それもあってか、本当に映像は確かに素晴らしい!
家や城を含めた古来の建造物、水や桜といった四季折々の自然を美しく描かれており、日本ならではの"美"が描かれています。
それでいて、日本の古典とも言える「かぐや姫」の世界観には非常に合っていたと思います。

また、作画と言えば中盤のかぐや姫が脱走する時に爆走する場面は演出的に好きです。
あれは水彩画っぽさならではの殴り書きにも似た荒々しさがありました。

ただ水彩画タッチの作画は素晴らしいとものの、個人的に好きかと問われたら正直解らないです。
水彩画のアニメーションは確かに独特ではありますが、全てが美しいわけではなくて単調な色彩も多いので、映像全てが好きにはなれません。


素晴らしい要素はありますが、いかんせん退屈に感じてしまいます。
自分はアニメは好きでも、素晴らしい映像だけでなくストーリーの面白さが無ければ好きにはなれないです。

と言うのも、この物語は結局タイトル通り「かぐや姫」の物語なので、そこから逸脱出来ていません。

皆さんにお聞きしたいのですが、
かぐや姫のストーリーって好きですか?

「竹取物語」は日本人であれば小さい頃に読み聞かせ等で聞いたりしている誰もが知ってる童話だと思います。
だからこそ、大まかなストーリーは把握済みです。
ただ、自分は別にかぐや姫の話を面白いと思ったことも無いです。なので、かぐや姫自体に思い入れがそんなにありません。

オリジナルのキャラクターやストーリー要素はあっても、結局原作の話自体は忠実に再現しただけのものに過ぎないので、ストーリーに驚きが全然ありませんし面白くもありませんでした。


また、上映時間が長いです。
前半は割りと良いテンポで展開が進んでいったのに対して、後半で失速してしまったように感じます。特に、城での生活があまりにも長いです。
137分という長さではありますが、この映画ではもう15分以上は削っても良かったです。
それも、退屈してしまった原因の一つでもあります。


実験的なアニメーション映画なので、海外からの評価が非常に高いのは理解出来ます。
海外は「竹取物語」を知らない人も多いですし、日本の水彩画でアニメーションを作ったら確かに好きになれると思います。

ただ、個人的には独特で素晴らしい要素があっても単調で退屈に感じたのであまり好きではありません。