エディ

世界にひとつのプレイブックのエディのレビュー・感想・評価

3.6
最愛の妻の浮気がきっかけで精神が崩壊し精神病院に入っていた主人公男性が、夫と死別したショックから立ち直るためにダンスに励んでいた女性と出会い、ダンスコンテストに出て精神的に立ち直るまでを描いたハートウォーミングストーリー。

主人公パットは最愛の妻に浮気相手を殴ったことで失職し精神病院に入れられていた。退院して実家でリハビリに励んでいるのだが、妻へのストーキングを繰り返している。そんなある日、友人の義弟で近所に住むティファニーに出会う。彼女は夫を亡くしたショックでセックス中毒になり現在療養中だったのだ。ティファニーは自分を取り戻すためダンスに励んでおり、近々行われるダンスコンテストにパットを誘った。乗り気じゃなかったパットだが、ティファニーの熱意にほだされて打ち込み始める。初心者だったパットだがだんだんと上手くなり、そして大会の日となった。


主人公である両者とも、結婚相手を失った「心に傷がある」者同士。そんな二人だが、過去を断ち切るためのティファニーと過去の女に未練があるからダンスをやるパットというように、最初から同じベクトルではない。そこがリアリティを感じる。
そしてダンス大会も、すいすい優勝するような予定調和的な出来レースじゃないので、これもまたリアリティがある。

なので、心に傷がある二人の設定は非常に良い按配だと思う。

ただ、パットの父親であるデニーロ演じるパトリツィオのシーンが無駄に思える。恐らく、大御所デニーロのために無理やり時間を割いた可能性があるが、そのせいで本題と関係ないストーリーに振り回されて、肝心の二人の心の変化の描写が手薄になっている気がした。

二人がダンス大会で頑張る動機には、パトリツィオの賭け事なんて絡ませる必要は全くないと自分は思う。

無理してそんなシーンなんか入れる必要はないのに、無駄なシーンと二人のダンスへのモチベーションを絡ませてしまったことで、それまでリアリティがあったのにクライマックスではリアリティを感じなくなってしまうのだ。

過度に湿ったメソメソとした描き方じゃないのは好みだしラストも好きだが、デニーロのためのシーンが心に傷ある二人が立ち直るという感動を弱めているような気がしてもったいなく感じた。
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